2023.01.24
岡田節人基金 フランス海外派遣報告書 東貴允(大阪大学)
この度は、岡田節人基金派遣助成からご支援を頂き、フランス・ストラスブールにて日本発生生物学会、フランス発生生物学会共催により開催されました第三回合同会議に参加させて頂きました。
ストラスブールはドイツとの国境の街で、アルザス地方の中心都市として知られています。ドイツを思わせる歴史的な建物が立ち並ぶ美しい街で、特に旧市街は世界遺産に指定されているほどです。そのような美しい街並みの中で学会期間の前後を含めて一週間ほど滞在しました。第三回合同会議は宮殿大学(Palais Universitaire)にて開催されました。こちらの会場にて「Identification of initial cue leading to the left-right asymmetric development of the embryonic midgut using “image-averaging” analysis in Drosophila(邦題:「画像平均化」技術を用いた、ショウジョウバエ胚における中腸の左右非対称化の最初のキューとなる形態変化の同定)(ポスター番号:20)」という題でポスター発表を行いました。たくさんの方にポスター発表を見ていただくことができました。初海外学会かつ昨今のご時世から現地での初めてのポスター発表となりました。そのため、初めは非常に緊張しましたが、活発な議論を重ねていくうちに段々と慣れてきました。フランスの方々の英語はかなり早く聞き取るのは困難を極めましたが、様々な質問を頂き、建設的な議論を交わせたと思っております。
私個人にとって、コロナ後初めての海外となりました。フランスのコロナ事情について去年はニュースなどで取り上げられていましたが、今年は全くといっていいほどなかったので少し不安でしたが、現地にいってみると、公共交通機関といった比較的人が集まるような場所でもマスクをしている人はほぼおらず、日本とは随分状況が異なっており驚きました。日本よりコロナを感じさせない雰囲気で、落ち着いて学会に望むことができたと思っています。
フランスに行くにあたってもう一つ気がかりだったのは物価です。昨今のコロナ禍及びウクライナ情勢により原油高による物価の上昇と為替の円相場の下落により、欧州の物価が日本人にとってかなり厳しいものになると予想していました。実際、日本円ベースで考えると確かに物価は高いとは感じましたが、ストラスブールが比較的郊外に位置していたことなどもあってか、想定していたほどの値段ではない印象でした(もちろん日本よりは高いですが)。
フランスは料理も日本人の好む美味しい料理が多く、建物の歴史も感じさせる素晴らしい国でした。治安に関しては、パリでは警官が二人組で警戒している場面は見かけましたが、良好でした。ストラスブールは更に治安はいいように感じました。数年前にはパリでのテロ等のニュースが流れていましたがそのような心配はなさそうな印象でした。
最後になりましたが本学会への参加に際しまして、ご支援を頂きました岡田節人基金派遣助成様、及び当研究室の松野先生を始めとした松野研究室の皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。ありがとうございました。
2023.01.24
岡田節人基金 ISDB海外派遣報告書 Elzava Yuslimatin Mujizah(大阪大学)
大阪大学大学院 理学研究科
Elzava Yuslimatin Mujizah(D3)
The 19th International Society of Developmental Biology (ISDB) is a huge meeting for developmental biologists that are held every 4 years. The meeting was supposed to take place last year in 2021 but due to CoViD-19 restrictions, it was delayed until 2022 and it still is in the same venue, Portugal. The ISDB 2022 is my third international meeting during my stay in Japan, but this meeting took a lot of courage to apply because apart from one of the biggest meetings for developmental biologists, ISDB 2022 also has numerous distinguished speakers from roughly all around the world. Around half of the speakers are young researchers (most of them are professors, associate professors, assistant professors, or researchers and a few postdocs) also delivered their new findings.
I applied for poster presentation and along with hundreds of participants, we gathered in Algarve, southern Portugal and had an offline meeting for the first time since pandemic hit. The oral presentation sessions were amusing, each day there was 1 keynote speaker to start the conference. On the first day of the conference, Dr. Marianne Bronner awarded Ross G. Harrison Medal, an award which is known to give recognition to scientist with significant contribution in developmental biology field. The poster presentation sessions were divided into 2 groups (1.5 hours for each group), odd and even numbers group. Me and the other odd numbered participant did the presentation first on October 17th and even numbers participated on the next day. I did the presentation almost non-stop throughout the entire session and was lucky to make new friends with students and postdocs from Spain, Colombia, UK, France, Ukraine, China, Poland, India, Italy, etc. It was such a warm atmosphere.
Joining an international meeting event like this is always a refreshing experience since it brings new things to the table. Also, the fact that I can connect with other PhD students who are on the same journey as well builds a network with experienced scientists. Finally, I would like to express my deepest gratitude to the Japanese Society of Developmental Biologists (JSDB) for giving me an opportunity to participate in the 19th ISDB through the 14th Tokindo S. Okada travel grant.
2023.01.05
岡田節人基金 フランス海外派遣報告書 水野苑子(京都大学)
京都大学大学院 生命科学研究科
水野 苑子(博士後期課程2年)
この度、岡田節人基金の海外派遣助成にご支援いただき、2022年11月7-10日にフランス・ストラスブールで開催された第3回日仏合同発生生物学ミーティングでポスター発表をさせていただきました。
開催地のストラスブールはとてもメルヘンティックな街で、趣深い木骨造の建築物と町を囲むイル川とが織りなす美しい景色を眺めながら、毎朝高揚した気持ちで会場へ向かいました。日本と違う柄のスズメがいたことにも興奮しました(写真)。
4日間に渡るミーティングには約200人が集い、約50の口頭発表と約80のポスター発表が行われました。発表内容は実に多様かつユニークで、着目する現象も実験に用いるモデル生物やシステムも多岐に渡っていました。発表者は大学院生からjunior PIが中心で、自分と近い世代の研究者が最先端の内容を発表する姿に毎日刺激を受けました。
自身の研究テーマでもある形態形成に関する研究も数多く拝聴できました。“器官や組織の形がどのように作られるのか?”という問いに対して、力、形と遺伝子発現の相互作用、個々の細胞の形や動き、進化的保存性などなど、実に多様な切り口があり、改めて生命現象として興味深いと感じるとともに、発表者の方々の柔軟な発想力、鋭い着眼点と観察力に憧れを抱きました。またライブイメージングを主軸とした研究が多く、多様なイメージングシステムを学びました。特に印象的なのは転写・翻訳やシグナル伝達の時空間ダイナミクスに関する研究で、高次元で複雑な分子のふるまいについて学び、その原理や生物学的意義に興味を引かれました。
自身のポスター発表では、「マイクロペプチド遺伝子が上皮組織の陥入運動を制御する分子メカニズム」について研究成果を報告し、1〜2名と約30分ずつ、計6名と密に議論させていただきました。聞きに来てくださった皆様の専門分野が多様で、新鮮な視点からご助言をいただけた点が本ミーティングならではの大きな収穫でした。例えば、私自身は知識が未熟な力学を専門とされる先生から頂いたご助言のおかげで、研究の方向性に影響する重要な視点を得ることができました。議論を深められるポスター発表の有益さを実感するとともに、次の機会には口頭発表も行い、よりたくさんの方々に自身の研究を知って頂きたいという気持ちも強まりました。
なんといっても、国外研究者との交流は、初めて国際学会に参加した私にとって新鮮で嬉しい経験でした。特に印象深いのは、3日目の夜に開催された交流会で、私が発表内容に特に興味を抱いた米国の研究者の隣に座って議論できたことです。その方は緊張気味の私とも気さくにお話ししてくださり、会話の中で、私が以前に読んだ論文の著者とお知り合いであることが判明したり、米国で開催される若手研究者向けプログラムを勧めていただいたりと、世界が広がったような気持ちで会話を楽しみました。その他にも、興味のあった技術を先駆的に活用されているフランスの研究者と講演後に議論でき、その技術の現状を直接伺えたこともとても貴重な経験でした。このような実り多き交流は、今後研究活動の場を国外へと広げて行くための重要な第一歩になったと実感しています。
ミーティングを通して、国内外でユニークかつ先端の研究を進める方々と交流できたことは非常に楽しく有意義なもので、終始刺激的な4日間でした。親切にしてくださった皆様に本当に感謝しております。
最後になりますが、この様な貴重な経験は、岡田節人基金によるご支援と、選考委員を務められた先生方、日仏発生生物学会の皆様による準備から開催までのご尽力のおかげです。この場を借りて心より感謝申し上げます。
(↓ストラスブールの景色)
2022.12.27
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 服部竜也(東京理科大学)
東京理科大学理工学部M1
服部竜也
少数制の研究会ということもあり、熱意ある同世代の方々や研究の第一線でご活躍されている先生方との繋がりを増やすため、「NGS発生生物学現場の会2022」に参加しました。研究会への参加を決定した際には、果たして懇親会には皆参加するのか、皆が三島ロッジに泊まるのか、など期待と不安が入り混じっていましたが、研究へのモチベーションを上げる良い刺激が得られました。
NGSという共通のテクノロジーを用いて多種多様な分野でご活躍されている方々が集い、議論を交わしました。通常の学会や研究会とは異なって、NGSに関するテクニカルな質問が多く飛び交っていた点が目新しく感じました。1日目に行われた研究紹介や交流会では、普段マウスを扱っている私としては馴染みの無い実験動物や再生の話など、とても興味深いお話を聞くことができました。交流会では、立場を超えて話し合うことができ、貴重な時間を共有できました。今回、2日目に私は「シングルセルATAC-seq解析を用いたマウス精子形成過程における分化運命決定機構の解明」というタイトルで15分間の口頭発表を行いました。どの発表者も時間を超過するほど活発な議論が行われており、私自身も貴重な意見を頂くことができました。また、研究内容だけではなく、就職かアカデミアに残るかを考えていた自分にとって、田崎さんの講演や、同世代の他の参加者の熱意や実績など、今後一人の研究者として生きていくために貴重な経験が得られました。
最後に、本研究会のオーガナイザーである鹿島さん、および日本発生生物学会の関係者の皆様に感謝申し上げます。今回の研究会に参加するにあたり、学会から旅費支援を頂きました。学会続きで遠方から参加する身としては非常に助かりました。重ねて御礼申し上げます。
2022.12.26
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 赤岩孝憲(大阪大学)
大阪大学大学院
赤岩孝憲
12/6,7の二日間、基礎生物学研究所で行われた「NGS発生生物学現場の会」に参加させていただきました。
私自身NGS解析を始めてから約2年半経つのですが、コロナの影響で対面の学会等が制限されていたこともあり、NGS解析を進めている研究者の方と情報交換をする機会がほとんどありませんでした。そのため、自分の解析手法が適切なのか・他にもっと良い方法があるのではないかといったことに悩みながら手探りで進めている状態でした。そこで、本研究会を通じて今後解析を進める上での助けになる情報を得られればと思い、参加を決めました。
研究会は30人弱の規模で、1つの部屋で行われました。参加者全員の研究紹介(1人5分)から始まったのですが、NGS解析という”技術”がテーマだったこともあってか、参加者全体で扱っている生物や研究している現象がかなり多様だという印象を受けました。個人的には、5分という短い時間で自分の研究をわかりやすく、印象に残るように発表することは非常に良い経験になったと感じています。その後のワールドカフェや交流会では、研究の深掘りもしていただきました。データ解析の話だけでなく、研究に対する姿勢など、重要なアドバイスを数多くいただけました。
二日間の研究会を通して、参加者全体で議論する時間をかなり多めにとっていただけたことが印象的でした。疑問に思ったことや、わからないことをその場で解消できた点が非常に良かったと感じています。また、参加者の皆さんの活発に議論する様子からは、技術の習得に対する貪欲な姿勢が窺え、今後自分が研究を進める上でとても良い刺激になりました。
最後に、手厚い旅費支援のもとこのような機会をいただけたことを鹿島誠先生をはじめとする発生生物学会関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
2022.12.26
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 Leo Sylvia(東京工業大学)
東京工業大学 生命理工学院 博士課程
Leo Sylvia
I attended this symposium with many questions: How do I best present my RNA-sequencing data as figures? Should I present them as normalized data, or as raw read counts? How do I approach such a huge dataset and how and where do I start to analyse such data?
Throughout the two days of presentations by both fellow graduate students and established professors, I was able to gain much valuable insight on these topics, as well as developing new points of view on the new cutting-edge sequencing methods that were previously not even on my radar. Relatively novel techniques such as ATAC-sequencing and spatial transcriptomics were applied to various developmental models such as zebrafish, medaka and mice. Despite similar sequencing methods being applied to the same model organism, application methods, experimental designs and experimental approaches varied and made every presentation interesting and full of learning points. The various approaches applied to experimental designs really broadened my horizons, and I was also able to gain more understanding on how to best present my own data depending on the situation and specific information to be conveyed. Seeing how several researchers were able to multiplex their experimental designs was also a big learning point for me.
The world café on the first day was also immensely helpful. Being able to listen in to discussions between researchers brought up points I would not have even noticed, and I was also able to ask direct questions to experts and given the appropriate advice. Overall, this symposium was extremely fruitful, and I am thankful to have been given the chance to attend. I would not hesitate to say that it would help improve my own research as well.
2022.12.16
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 氏部浩太(青山学院大学)
青山学院大学 理工学研究科 博士後期課程 1 年
氏部浩太
今回、初めて本会のような合宿形式での会に参加しました。研究者としてこの業界に入ってから 4 年弱経ちましたが、コロナの影響によりその 4 年のうち 2 年間はオンラインでの学会や懇親会にしか参加したことがありませんでした。そのため、顔を合わせて発表を聞いたり議論したりする機会がなかなかなく、学生間のネットワーキングの機会も限られていたことから横との繋がりがありませんでした。今年になってようやくコロナ感染の拡大が多少収まりつつあるため、対面形式での学会が増えてきました。それにより、多少ながらコミュニティーを築くことができつつありました。その絶好のタイミングに「NGS 発生生物学現場の会 2022」が開催されると聞き、迷うことなく参加をすることに決めました。参加前はどのような方々いるのか硬い感じの会なのかなど不安なところがありました。実際に参加をしてみると、参加者の中には NGS に触れていないビギナーの方から上級者の方々まで幅広くいました。私は NGS に触れてはきた中堅レベルであったため、学んだり多少教えたりする立ち位置にあり様々な点でとても私自身にとってプラスになる会でした。講演の中には企業の方がいらっしゃり、企業側はどのようなことを研究者に求めているのか、企業での研究はどう進めていくのかなど普段では聞くことのできない貴重なお話を聞くことができました。また、参加者の方々と一緒にいる時間が長い分、通常の学会より議論等ができる時間を長くとることができました。それにより、普段の学会では議論できていなかった事細かいところまで議論することができ、自身の研究に関してもっと勉強や知識をつけなければならないと再度実感させてもらいました。また、修士や博士の学生だけでなく他大学・研究機関の先生方とのコミュニティーも多少なりとも築くことができました。さらに、NGS を扱われてきた先生や先輩研究者の方々がはじめて NGS に触れる際に、どこで苦労をしてきたのかなどこれまでのキャリアのお話を聞くことができとても有意義な時間を過ごすことができました。これらの点で、合宿形式の会ならではの雰囲気やコミュニティー作りを経験することができるとても良い会であり、参加して本当に良かったです。来年度以降にもこのような会が開催されるようであれば、是非とも参加したいです。
2022.12.16
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 クォン スンジュン(九州大学)
九州大学 システム生命科学府 5年一貫制2年
クォン スンジュン(KWON SEUNG JUNE, 権 昇俊)
発生学会のニュースレターから「NGS発生生物学現場の会」が開催されることを知って、すぐ行きたいと思った。私はwetの実験も好きだが、バイオインフォマティクスの解析にも以前から興味を持っていて、Bulk RNA-Seqなどのデータ解析を行っている。しかし、dry解析については正規の教育を受けたことがなく、本やインターネットで独学してきたため、解析を行いながらも「このやり方で大丈夫かな」という不安を常に抱えていた。研究室内にNGS解析を行っている人は私一人で、質問や議論がしたくても、する人がいない。このような状況で、NGSを用いた研究を行っている研究者及び学生が集まり、各自のデータ解析手法や「悩み」を共有するというシンポジウムは、私にとってとても魅力的なイベントだった。メールが来たその日に申し込んだことをまだ覚えている。
二日間の短い期間だったが、本当に密度の濃い、有益な時間だったと思う。「自分はまだビギナーだから、色々聞きに行こう」という軽い気持ちで開催を楽しみにしていたのだが、実際行ってみたら、期待していた以上に楽しかった。5分間の参加者全員の研究紹介からワールドカフェと招待講演まで、全てが面白い時間だったが、一番好きだったのは一般発表の時間だった。全員の発表者の発表後に、見たことのないほどの活発な質疑応答の時間が、すごく楽しかった。私も、wet・dry両方初心者でありながら色々質問したのだが、私みたいな修士課程の学生から、経験豊富な先生まで、様々な分野の人がNGSで一つになって楽しく議論するところを、目の当たりにすることができた。また、コロナの影響で、大学院に進学してから研究室外で発表する機会が少なかったのだが、今回の一般発表が私にとって初めての学外発表になり、自身の研究について今まで気づいていなかった視点から、色々なアドバイスを受けることができた。最後に、同じ年代の学生からシニアの先生まで、交流会も含めてたくさんのお話ができてすごく楽しかった。お互いを「○○さん」と呼ぶことも、学生からして先生との距離が縮まることを実感することができた。
このような有益で面白いシンポジウムを開催してくださった、日本発生生物学会の関係者の皆様に感謝申し上げます。
2022.12.12
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 眞鍋柊(東北大学)
東北大学大学院 医学系研究科 発生発達神経科学分野
眞鍋 柊
指導教員の先生が、私にこの研究会の存在を教えてくださった。その助教の先生はある学会での鹿島先生の美しい発表に感動し、その発表の最後に鹿島先生が宣伝されていた本研究会を私に強く推薦してくださった。神経発生に関する研究を行っており、かつRNA-Seqデータを用いていた私にとっては、「NGS」「発生生物学」と冠した本研究会は強く興味を引いた。さらに、現在所属の研究室でNGSデータを用いて研究を行っている学生が私を含め2人だけであったため、類似した研究を行っている同世代の学生と会って、研究の進捗や、さまざまな悩みを共有したいという気持ちがあり、本研究会に参加させていただくこととした。参加するにあたり、発生生物学会からの旅費支援を利用させていただくことができ、金銭的な心配はなかった。
実際に2日間、本研究会にて非常に充実した時間を過ごすことができたが、本研究会を有意義たらしめたのは、特にその「規模」によるものが大きかったと感じている。学生・若手研究者15名程度に対して、専門家の先生が10名程度もいらしたために、自分の口頭発表の際にもほとんどすべての先生に質問・コメントをいただくことができ、有益な情報を研究室に持ち帰ることができた。他の方々の口頭発表においても、時間を超過するほどの活発な議論が繰り広げられており、そのいずれもが今後の自分の研究の参考になる充実したものであった。またその規模ゆえに、交流会や昼食時などに、本研究会に参加されたほとんどすべての方とお話しさせていただくことができた。私が修士課程に進学して以来、新型コロナウイルスのまん延によりほとんどすべての学会等がオンラインで行われてきたため、今回、素晴らしい研究発表をする同世代の学生の活躍を知り、直接お話をさせていただけたことは非常に良い刺激となった。
まとめると、私は本研究会に参加することで、自分の研究の方向性に関して重要なアドバイスをいただき、同世代の学生の皆様の研究成果に刺激を受け、また悩みを共有することもできた。NGS発生生物学現場の会で過ごした2日間は非常に有意義な時間であった。最後に本会の開催にご尽力いただいた鹿島誠先生および発生生物学会の皆様に感謝申し上げます。
2022.12.12
NGS発生生物学現場の会2022 参加報告書 中村光希(岡山大学)
岡山大学環境生命科学研究科 博士後期課程1年
中村光希
私がこの研究会に参加した目的は、一つは自身の研究で行っているNGS解析で直面する課題を解決することでした。私はNGS解析に触れてまだ半年も経っておらず解析に必要な基礎知識が不足しており、解析が十分に進められない状況でした。また、もう一つは同年代の方々との交流を通してNGS解析に限らず研究の進め方や研究との向き合い方を知ることでした。今回、発生生物学会の会員ではなかったため参加するか迷っていました。しかし、研究会概要を拝見して今の自身がまさに必要としている研究会だと思い、参加を決めました。
研究会に参加して、参加者との交流や疑問の共有を通して様々な解析手法の理解やNGS解析に必要な知識だけでなくNGS解析を進める上での心得を学ぶことができました。
招待講演において、田崎 純一さんの講演では基礎研究の経験をどのように企業で社会に役立てることができるかを知る貴重な機会になりました。そして、企業ならではの考え方、研究の進め方も知ることができました。安齋 賢さんの講演ではスラウェシ島の多様なメダカのゲノム解読の話が興味深く、ゲノム解読の過程を詳細にお話いただき大変勉強になった。私は公開ゲノムデータを利用するばかりですがゲノムが解明されていない生物を解析することの面白さを知りました。尾崎遥さんの講演ではシングルセル解析や空間トランスクリプトームなどバイオインフォマティクスの最先端を知ることができました。情報解析が発生生物学の発展にいかに重要かを感じることができました。鹿島 誠さんの講演ではゼブラフィッシュの研究内容から他検体RNA-seqの魅力に触れることができました。さらにNGS解析を進める上での心得を学びました。
ワールドカフェでは参加者の方々にNGS解析で誰に相談してよいかわからないことなども気楽に質問でき、参加者とのつながりを作ることもできました。
一般発表では、私は発表しませんでしたが、NGSを用いた多種多様な研究内容を聞き、NGSが様々な場面で利用されていることを感じました。私は植物の研究をしているため、普段触れることの少ない哺乳類や魚類などの生物種の研究内容を聞くことができ、NGS解析以外にも知識を得ることができました。さらに質疑応答では、交流会やワールドカフェで参加者との交流がすでにあったため、気負わず積極的に質問でき、大変勉強になる一般発表でした。また、公開討論会ではマニアックな話題やデータの管理方法なども挙がり、非常に勉強になりました。
この研究会に参加して、NGS解析に対する疑問や理解不足な点を明らかにすることができました。また、会員ではなかった発生生物学会での研究会であった点が参加前には少し不安もありましたが、実際に参加して、NGS解析の基礎の話から特殊な解析方法まで幅広く学ぶことができただけでなく、同年代の方々との交流や、様々な面白い研究そして今後の自身の研究に生かせるお話を聞くことができました。誰もが簡単にNGS解析を始められる今だからこそ、そのうちの一人としてNGS解析に対する悩みを抱えていた私にとってこの研究会は大変貴重な機会になりました。最後に、このような機会をくださった日本発生生物学会、NGS発生生物学現場の会2022の関係者の皆様に心から感謝申し上げます。