2025.01.14

DGD編集主幹メッセージ(2025年)

日本発生生物学会会員の皆様へ

新年明けましておめでとうございます。
平素より学会活動にご協力いただき、誠にありがとうございます。

日本発生生物学会(JSDB)が発行する英文専門誌“Development, Growth and Differentiation (DGD)は、現在、研究論文の投稿を積極的に受け付けております。本誌は60年以上の歴史を持つ国際誌で、動植物を問わず、発生生物学、成長、分化、再生、細胞生物学、および関連分野における質の高い研究成果を発表する場として、国内外の研究者に支持されてきました。
DGDでは、以下のようなさまざまな状況に応じた投稿が可能です:

(1)競争の激しいトピックや学位審査など、時間が限られている場合
→ まずは編集事務局(dgd_editorialoffice@wiley.com) にご相談ください(日本語可)。DGDは投稿された論文の内容を重視し、過度な追加実験は要求しない方針です。
(2)トピックのインパクトが不明でもしっかりした実験結果がある場合
→ Short Article形式(Articleのおよそ半分)での投稿をぜひご検討ください。
(3)新しいマテリアルや系統を作製して評価した研究の場合
→ Methods、Protocol、Technical Note、Resourceなどをご利用ください。
(4)他のハイインパクトジャーナルに投稿したがリジェクトされた場合
→ レビューコメントと対応内容を添えて、まずはエディターにご連絡ください。
(5)bioRxivに出してまだ査読を経ていない新しい論文がある場合
→ ぜひResearch Articleとして投稿をご検討ください。
(6) 他の雑誌にアクセプトされた論文を基に、DGDでレビューを書いて成果を広めたい場合
→ ReviewやMini Reviewとして発表する絶好のチャンスです!若手の方はまずはMini reviewからの投稿がおすすめです!PIの方は研究室の若手の方にReviewを書くことを勧めてはいかがでしょうか?
(7)その他、迷ったら、まずはエディターに相談を!
DGDは、迅速なプロセスと柔軟な対応を心掛けています。「この内容で投稿できるだろうか」と迷われる場合でも、ぜひお気軽にEiCまでご連絡ください(dgd2023@jsdb.jp)。問い合わせは日本語で構いません。

DGDに論文を投稿することで、以下の利点が得られます:
• 国際的な読者層:世界中の研究者にアクセス可能なプラットフォームで、研究成果を広く発信できます。
• 迅速な審査プロセス:経験豊富なエディターが査読者の協力を得て効率的かつ公正な査読を行います。
多様な論文タイプ:Research Articleに加え、Methods、Protocol、Technical Note、Resourceなど、研究に最適な形式で投稿可能です。
• 投稿料は0円!
• オープンアクセスの選択肢:出版と同時に全世界に無料公開されるオープンアクセスオプションを選べます。所属先とワイリーのオープンアクセス転換契約を利用してオープンアクセス出版料金の割引が受けられるかもしれません。対象機関はこちらでご確認ください。
学会会員の皆様による積極的な投稿が、学会誌の質の向上と分野の発展に大きく寄与します。ぜひ、この機会にDGDへの論文投稿をご検討ください。
投稿ガイドラインや詳細については、以下のリンクをご覧ください:
Development, Growth and Differentiation – 著者ガイドライン
ご不明な点がございましたら、お気軽に編集事務局(dgd_editorialoffice@wiley.com) またはEiC(dgd2023@jsdb.jp)までお問い合わせください。
皆様のご投稿を心よりお待ちしております。
DGD編集主幹(EiC) 上野直人
2024.07.08

DGDのX新アカウント作成のお知らせ

日本発生生物学会 会員 各位

DGDのX(旧ツイッター)アカウントの一時的な凍結について、再度の凍結解除の要請にも何ら回答がなかったため、新しいアカウントを作成しました。
新アカウント:@2024dgd62921
https://x.com/2024dgd62921

ご心配、ご不便をおかけしましたが、新アカウントのフォローをよろしくお願いいたします。
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DGD編集主幹
上野
2023.08.18

論文のオープンアクセス(OA)のメリットに関する情報

D.G.D.を出版するWiley社の分析では、即時OA論文は非OA論文に比して被引用数が1.9倍になるのに対し、D.G.D.のように一定期間後閲覧可能(1年後にFree to read)となる場合、その効果は1.2倍に留まるという結果が得られています。
https://authorservices.wiley.com/asset/OA_Advantage_2023.pdf

OA出版に関わる費用(APC)が大きな負担となっていることは憂慮すべき問題ではありますが、Wiley社と転換契約を結んでいる大学(以下サイトをご覧ください)はそれぞれ研究者へのAPCの負担軽減を行なっておりますので、該当部署にお問合せの上積極的に利用されますことを推奨いたします。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000088592.html

なお、各機関での転換契約に基づく割引きは学会員割引きと併用できないことをご理解ください。

よろしくお願いいたします。

DGD編集主幹
上野
2023.08.08

DGD Awards 2023

【Editor-in-Chief Prize(Most cited)】
Sakano, Hitoshi
Developmental regulation of olfactory circuit formation in mice
DGD 62 (4), 199-213, 2020

Total citation: 9
【Editor-in-Chief Prize(Most cited)】
Huanquan Lu, Siyuan Chen, ZhijianYou, Chuping Xie, Shichuan Huang and Xiarong Hu
PFKFB4 negatively regulated the expression of histone acetyltransferase GCN5 to mediate the tumorigenesis of thyroid cancer
DGD 62 (2), 129-138, 2020

Total citation: 9
【Wiley Prize (Most downloaded)】
Nuria P. Torres-Aguila, Marika Salonna, Stefan Hoppler, David E. K. Ferrier
Evolutionary diversification of the canonical Wnt signaling effector TCF/LEF in chordates
DGD 64 (3), 120-137, 2022

Total full access: 1128
【Young Investigator Paper Award (DGD 奨励賞)】
Toshihiro Arae, Mai Nakakoji, Masahiro Noguchi, Eri Kamon, Ryosuke Sano, Taku Demura and Misato Ohtani
Plant secondary cell wall proteome analysis with an inducible system for xylem vessel cell differentiation
DGD 64 (1), 5-15, 2022
【Young Investigator Paper Award (DGD 奨励賞)】
Munkhsoyol Erkhembaatar, Iroha Yamamoto, Fuduki Inoguchi, Kosuke Taki, Satoru Yamagishi, Leanne Delaney, Nishibe Mariko, Takaya Abe, Hiroshi Kiyonari, Carina Hanashima, Hayato Naka-Kaneda, Dai Ihara and Yu Katsuyama
Involvement of strawberry notch homologue 1 in neurite outgrowth of cortical neurons
DGD 64 (7), 379-394, 2022
【Young Investigator Paper Award (DGD 奨励賞)】
Takafumi Ikeda, Kiichi Inamori, Toru Kawanishi and Hiroyuki Takeda
Reemployment of Kupffer’s vesicle cells into axial and paraxial mesoderm via transdifferentiation
DGD 64 (3), 163-177, 2022
2023.07.12

Development Growth Differentiationへの写真提供のお願い

D.G.D.誌では出版号の論文の中から表紙にふさわしい写真やイラストを選び表紙アートに用いてきました。新しいロゴと共に刷新した表紙では、印象深くインパクトのある写真やイラストを引き続き表紙アートへ採用いたしますので、論文投稿者の皆さんには自信作を是非論文データに用いていただき、論文カバーレターでアピールいただければと思います。

また、表紙用写真を常時ストックし、掲載論文の有無に限らず適宜表紙に採用して行きたいと考えております。発生生物学に直接関係なくても、これはという作品をお持ちでしたらdgd2023@jsdb.jp(DGD編集主幹)までメールで是非ご提供ください。提供いただく際、以下の点にご留意ください。

・高解像度 (> 300 dpi) の JPEG、EPS、または TIF ファイルである必要があります。
・英文(50 words以内)でキャプションを記載ください。
・著作物利用許諾書(Permission Request)への署名をお願います。
・提供いただいた写真は必ずしも表紙に採用されるとは限りませんのでご了承ください。
2023.07.05

D.G.D.の1997年以前のバックコンテンツ収載につきまして

いままで1997年以降のD.G.D.は検索・閲覧可能でしたが、1969~1997年の間に出版されたD.G.D.バックコンテンツ論文(D.G.D.となる以前に出版された掲載論文については対象外)についても新たにPubMedで検索可能になり、Wiley版フルテキストページへのリンクが貼られました。
1997年からの収載論文92本に対し、1554論文が追加され1646本に増えたため、より多くの人に読んでいただけるようになると思います。この問題をご指摘いただきました浅島誠会員ならびにデータ提供などにご尽力いただきましたWiley社に感謝申し上げます。

DGD WEBSITE:https://onlinelibrary.wiley.com/journal/1440169x
2023.04.13

DGD編集主幹就任にあたって

2023年4月15日

DGD編集主幹
上野直人
本年1月より平良前編集主幹を引き継ぎ3ヶ月が過ぎました。この間、投稿論文のハンドリングをしながらScholarOneシステムに慣れることや、特集号(Special issue)の状況把握、表紙デザインの刷新に関するステアリングコミッティでの議論などを行なってきました。この3ヶ月間に感じたことなどを含めて編集主幹の就任挨拶とさせていただきたいと思います。

 私が学会長を務めていた2015-2019年には仲村春和先生が編集主幹を務められ、その後、2020-2022年に平良眞規先生、本年2023年1月から私が引き継ぐことになり、学会側から学会誌としてのDGDを見ていた立場から、逆にDGDの立場から学会との関係を考える立場へと大きく変わりました。学会理事会の前に行われるDGD編集委員会で活動状況は表面的には把握していたものの、実際に編集主幹が行なっていた業務や学会との連携やその距離感については、編集主幹となって初めて感じること、改めて感じることが多くありました。いままでもDGDの日本の発生生物学研究を国際的に発信する媒体としての意義を十分認識していましたが、DGDはEmbryologiaの時代を含めて1959年から60余年の歴史をもつ日本の発生生物学を牽引してきた学術雑誌であることの重み、同時に編集主幹としての責任を改めて感じています。創刊当時の研究者の思いや、その後DGDに論文を投稿し研究成果を発表してきた多くの研究者によって支えられてきたDGDを少しでも発展させられるように努力したいと思いを強くした次第です。
 
 すでにDGDは時代の変化とともに大きな進化を遂げています。平良前編集主幹のときに行ったエディターシステムの導入により、専門性をもったエディターが論文のハンドリングを行うようになり、細胞生物学、進化学など広い境界領域も対象として拡大しつつある発生生物学の潮流に対応しつつあります。加えて、論文カテゴリーの多様化、発生生物学の基盤となるリソースや今後導入が必要とされる技術をテーマとした特集号の発刊などの取り組みは2021年のインパクトファクター(IF=3.0)へとつながっており、平良前編集主幹のご尽力に感謝いたします。
 
 一方、この流れを加速し学術誌としてさらに発展させるためには多くの課題があります。それは、一定の質をもった投稿論文を持続的にまた十分な数を確保することの困難さです。いうまでもなく、学術誌にとって論文の科学的な質はその評価の要であり、日本発生生物学会が自信と誇りをもって質の高い論文を世に出すことはDGD、ひいては学会、日本の発生生物学コミュニティーの評価を高めることにつながるもの信じています。そのためには、学会員を中心として、DGDへの投稿を積極的に考えていただくこと、同時に編集主幹、エディター、レヴューアーの円滑な連携を保って論文をしっかりと科学的に審査し、適正な助言、改訂などを通してより良い方向へ「導く」という意識が必要なのだと思います。これは実際には簡単なことではありませんが、著者および出版に関わる研究者間でそのような文化を醸成することも日本の発生生物学の底上げに寄与するものと思います。
 
 この3月に開催されたあるシンポジウムでDGDの宣伝を行うためのパワーポイントスライドを作成しました。その中でDGDの雑誌名に続くメッセージとして”Our Journal, Our Pride”というフレーズを加えました。学会員の皆さんが自分の学会の雑誌であるとの思いをもち、また海外の研究者に対しても誇りがもてる雑誌としてあり続けたいとの思いを言葉にしたものです。編集主幹として、皆さんにそのような意識を強くしてもらえるようなDGDにできればと考えています。今はトレンドでなくとも、将来大きな流れを生む「かも」しれない潜在性のある論文も含めて会員の皆さんからの投稿をお待ちしています。

 この10年の間にオープンアクセス (OA)化への流れは加速しています。多くの人と情報を共有するために魅力的なシステムであることはいうまでもありません。他方、自己負担の場合、OAに関わる費用は決して少額ではなく、躊躇される著者も多いのではないでしょうか。最近ではOA化を促進するために、「転換契約(transformative agreement)」を行なっている大学も多くみられ、現在、Wiley社は日本の18校と契約を拡大しつつあります。各大学ではこの契約の中で一定数の論文に対してOA化に必要な論文掲載料(APC)を全額あるいは一部負担するなどのサポートをしていますので、OA化を望まれる方は是非、各大学の担当者にお問い合わせいただき、積極的にご利用いただきたいと思います。

 このように、学術研究や専門誌出版の動向は日々変化しつつありますが、学会員、エディター、Wiley社DGD担当スタッフの皆さんのご協力を得ながら、DGDの歴史、個性、強みを活かして微力ながらDGDの発展、日本の発生生物学研究の国際的発信に貢献できればと思っております。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
2022.12.21

DGD編集主幹を終えるにあたり

2022年12月

DGD編集主幹 平良眞規
「DGD編集主幹の就任の挨拶」を書かないまま、「DGD編集主幹を終えるにあたり」を書くことになってしまいました。それは、一つはDGDの改革を行なっていましたので、それが一段落してから挨拶したいと思っていたところ、予想以上に時間の経過が早かったこと、そしてもう一つは筆不精ということだと思います。最後に、この3年間でのDGDの改革内容を皆様にお伝えしたいと思い、筆を取りました。

2019年の夏頃に2020〜2022年の3年間の予定で編集主幹(以下Editor-in-Chief: EiC)を拝命することが決まったとき、「DGDが学会誌として学会員から投稿したいと思えるジャーナルになるにはどうしたら良いか」を考え、2つの改革を行いました。1つ目は、Editorial Boardを名目上のものではなく、JSDB会員および海外の研究者がEditorとなって査読プロセスを行う実質的なEditorial Boardとして組織することです。そのためEiCをサポートする機関としてまず「編集会議」を組織し(第一期編集会議:私を入れてメンバー4名)、その後メンバーの入れ替えで第二期編集会議(メンバー6名)を組織して、具体案の作成を行い、Editorの役割を名文化して投稿論文のハンドリングと招待論文の依頼を行うことを業務として取り決めました。そして、それに同意する30名以上の中堅と若手の研究者を国内外から集めて、広く発生生物関連の分野を網羅するEditorial Boardを組織することができました。それにより投稿者が自分の研究分野に合ったEditorや自分の研究を理解してもらっている知り合いのEditorを指名することで安心して投稿ができるようになりました。また投稿前にEditorとコンタクトを取って原著論文の内容を相談したり総説の投稿を提案して認められれば投稿したりすることが可能となりました。このシステムは投稿者にとってメリットがあるだけでなく、Editorを初めて経験する研究者にとっても査読プロセスを理解する機会を得ることができるというメリットがあると考えています。またEditorial boardに関連する研究者からの投稿を呼び込む狙いも軌道に乗ってきています。
投稿を促進する2つ目の改革として、投稿者のニーズに合った論文タイプを新たに設置し、かつそれを広めるための特集号を企画しました。従来はResearch ArticleとReview Articleの2種類だけでしたが、特集号”Methods and Protocols”の出版に向けてMethod、Protocol、Technical Notesを設置し、特集号“Versatile Utilities of Amphibians”ではShort Research Articleを設置して数多くの原著論文を得ました。他に Resource、Historical Review、Mini Reviewも加えました。これらの中から皆様の目的にあった論文タイプを選び是非投稿してください。発生生物学会の総会で「DGDを若手研究者の登竜門としてご活用してください」と繰り返し述べましたように、修士論文や博士論文をDGDに投稿して研究者人生の最初の原著論文を発表する、あるいは超一流雑誌に発表した原著論文を核として研究人生初の総説をMini Reviewとして書いてみる、などは如何でしょうか。
さて、EiCとしての編集業務と、私自身もEditorとして査読プロセスを行なってみて初めて気がついたことが幾つもありました。EiCはまず投稿論文の事前チェックを行って査読に回すかリジェクトするかを決めます。それを最初に行い出して気がついたことは、miRNA関連の似たような論文が幾つも投稿されてくることです。そしてそれらが偽造論文(papermill products)として出版業界を揺るがし始めていることを知りました。EiCとしてこの偽造論文を見定めてリジェクトすることは必須であり多大な労力を費やしましたし、今も時々投稿されてきていますので気が抜けません。EiCのもう1つの業務はEditorによってアクセプトされた論文の最終チェックです。そこで認識したのは、アクセプトされた論文の完成度のばらつきが大きいことでした。これについてはいろいろな要因がありますが、第一には投稿時の論文の完成度(つまり著者による事前チェックの度合い、研究者間でのcritical readingの有無、英文校正の有無)ですが、その後の査読者のチェックの質と量、Editorのチェックの質と量、も大きく影響します。それらのチェックを済ませてきたものをEiCが見るわけですが、それでも科学的な記述の間違いや英語の間違いが半数以上の論文で見つかります。この問題にEiCはどう対処すべきかが編集会議で大きな議論となり、また理事会でも議論となりました。何故これが大きな議論になったかと言いますと、これまでのDGDの「売り」として「迅速な査読プロセス」を標榜していたことにあります。しかしこの「迅速な査読プロセス」と「論文の質(完成度)の向上」とを両立させることは難しい問題でした。「迅速な査読プロセス」を強く主張する意見では、アクセプトになった論文は仮に科学的に不備の記載の部分があったとしてもそれは著者の責任であり、査読プロセスはきちんと経ているので手続き的には問題なく即座に印刷に送るべき、となります。一方私は、DGDが世界に通用する日本の雑誌であるとJSDB会員が誇れるものにするには「論文の質(完成度)の向上」は欠かせないという立場でした。これはDGD Editorial Boardで議論する課題ではありますが、JSDB会員の皆様にとってDGDをどのような雑誌にしたいかという本質的な問題でもあります。
この3年間いろいろありましたが、DGDの論文の質は格段に良くなっていると自負しています。また以前は掲載論文の多くは総説でしたが、ここ1、2年は原著論文が数多く出版されていることも大きな変化です。そして2021年のImpact Factorはついに3を超えました。これは幾つかの好条件が重なったことで達成したと考えられますので、今後も上がった下がったで一喜一憂するものではないのですが、めでたい事には変わりません。

最後に、2019年の夏から始めましたDGDの改革に多大なご協力をしていただきました多くの方々に深く感謝申し上げます。特に第三期編集会議メンバーとして私を支えてくださいました鈴木孝幸博士と池谷真博士、並びにassistant editorとして多大なるご協力をくださいました近藤真理子博士に深く感謝申し上げます。今後もDGDのさらなる発展を祈念して筆を置きます。
2020.02.06

DGD編集主幹メッセージ(最後の編集主幹便り)

2006年の秋頃から13年余編集主幹を務めて参りましたが4月から平良眞規氏が引き継ぐことになっています。

 私が引き継いだ年のインパクトファクターは1.5でしたので、まず考えたのはインパクトファクターをあげることでした。そのために、著名な方々に総説を依頼すると共に特集号を出そうと思いました。最初の特集号は再生特集号だったと思います。また、2008年にはDGDが50巻を迎えるので、50巻特集号を発行すべく、学会にも特別予算を組んで頂きました。阿形さんが岡田節人先生にインタビューして発生生物学会の歴史に関する記事と共に、それまで発生生物学会を引っ張ってこられた方々が論文を投稿して下さり、非常に良い特集号ができたと思っています。Nicole Le Douarin先生にも依頼したら快く書いて下さり、ニワトリウズラキメラの歴史についても知ることができます。それからも9号/年のうち、二つの号は特集に回すことを考え、大会のシンポジウムのorganizersにお願いして、editorになっていただき、そのシンポジウムを中心に関連のある研究者を加えて特集を発行しました。通常号にも総説を入れるべく、面白いoriginal paperを書いた方、あるいは大会でおもしろい発表をした方々に総説の執筆を依頼しました。幸い、特集のeditor、また総説を依頼したほとんどの方が快く引き受けて頂きDGDを充実させることができたと思っています。そのかいあって2008年(発表は2009年)から2016年までインパクトファクターは2を超えることができたと思っています。ただ、2017、2018年とまた1点台に落ちています。

 私が編集長になった頃まで、科研費の出版補助は直接出版の費用に充てることが出来、科研費はそのままWileyに支払われていました。しかし、2008年に毎年競争入札をすることという条件がつきましたので、それでは出版できないと思い、相澤会長と一緒にWielyと交渉して、学会員へのDGDの配布は希望者だけにして支払いを少なくし、一方ではRoyaltyをあげてもらい、さらに編集サポートも頂くと言うことに落ち着きました。Wileyとは契約更改をしたばかりでしたが、途中で契約見直しに応じていただきました。危機が転じて福となったと思います。その後、紙媒体を廃止しましたので、出費がさらに減ることになりました。
 科研費に関しては数年前から出版費用ではなく、DGDの戦略的な事業等に使えるように変更されました。現在はDGDをアジア、オセアニアでのハブジャーナルとすべく補助を受けていますが、引き続き補助を受けられることを願っています。

 数年前からDGDへの投稿者が減っています。それは、open access journalが増えたこと、博士課程の大学院生の数が減ったことなどが原因と考えられます。さらに、研究費のサポートも応用面を重視する傾向にありますので、それも発生学の基礎を重視するDGDへの投稿が減っている原因とも考えられます。それは、DGD論文の引用数の減にもつながりインパクトファクターの低下につながっていると思われます。
 DGDは先人達の努力により、国際的にも認められているjournalだと思っています。私がパリに留学した40年前にも研究所の図書室にDGDがおいてあり、うれしく思ったものでした。Wileyもそのことを評価しており、危機に直面したときなども相談に乗ってくれたものと思っています。Dev Cell, Genes Dev, Development, Dev Biol, Dev Dyn等のクラシカルな発生生物学のjournalも軒並みインパクトファクターの低下に直面しています。こういう困難な局面を次期編集主幹の平良氏を中心に学会役員、学会員の方々の協力で乗り切ってほしいと思います。
2018.06.18

DGD編集主幹メッセージ「2018合同大会Wileyランチョンセミナー」

2018合同大会のWileyランチョンセミナーで話された内容を公開いたします。

PDFは、こちらからダウンロードできます。