2024.02.05
2023年度朝日賞受賞式の報告
倉谷滋会員が2023年度 朝日賞を受賞され、帝国ホテルで授賞式が執り行われました。(2024年1月)
授賞式ではカメの甲羅や肩甲骨の位置がどのように進化の過程で変化してきたのか動画を用いて分かりやすく説明されていました。
2024.01.09
高橋会長メッセージ(2024年1月)
2024年、明けましておめでとうございます。
今年は、元旦の能登半島地震や羽田空港での飛行機大火災など、大きなニュースを聞きながらの年明けとなりました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々とその御遺族に対し謹んで哀悼の意を表します。また石川県をはじめ、富山県や新潟県での諸大学・研究所において、顕微鏡や実験動物などの被害が少なからず出ていると聞き及んでおります。日本発生生物学会としてどのようなサポートができるかを検討してまいりたいと思います。
さて、昨年6月に会長に就任して以来、あっというまに半年が過ぎました。仙台での第56回大会においては、松居靖久大会長のもとでほぼ元通りの対面大会が開催され、学会員の活気あふれる発表に議論の花が咲きました。本年6月には第57回大会が京都で開催されます(見學美根子大会長、6月19日−22日@みやこめっせ)。発生生物学は多岐に渡る幅の広い生物学ですので、日常ではあまり接しない分野の研究にも興味津々と首をつっこんでみてください。
ここで2つの楽しいお知らせがあります。1つ目は、日本発生生物学会のロゴが新しくなりました。
https://www.jsdb.jp/about_message.html (ページ下方参照)
この新ロゴには「1つの細胞(卵)からはじまる多細胞のネットワークと発生生物学に興味を持つ人々のつながりを表現しています。常に新しい発見が産声をあげる学会でありたい」というコンセプトが盛り込まれています。学会員の皆様には、是非この新ロゴを国内外に大いに宣伝していただくとともに、このコンセプトを胸にわくわくする発生生物学を進めて頂けますと幸いです。
2つ目は、学会から新しく創設された「JSDB Frontiers Prize(日本発生生物学会フロンティア賞)」です。独創性の高い研究で今後の発生生物学をリードする若手学会員を表彰します。審査員もその多くが若手の研究者であるため、新しい息吹を吹き込むことができると期待しています。募集要項や申込スケジュールの公開は、1月下旬頃を予定しています。
ひとときも休むことなくせっせと働く細胞たちによって支えられる卵からの形作り。その大きなドラマに心を寄せるとき、他では決して味わえない高揚感を覚えます。とはいえ、日常の研究生活は思うようにいかないこともしばしば。しかし発生生物学を愛する仲間との語らいの中からとんでもないアイデアが生まれることもまた事実です。本年も、発生生物学を自由に語り合う場を最大限応援してまいります。
2024年1月
日本発生生物学会 会長(代表理事)
高橋淑子
2023.08.21
第56回大会アンケート結果/Results of the 56th Annual Meeting Survey
Q1.回答者の属性/ Participant’s affiliation
Q2.あなたはどの枠で発表をされましたか?/ In which category did you present?
Q3.本大会ではシンポジウム/ワークショップ/口頭発表を行いました。その演題数についてお聞きします。/ This year the meeting program included symposiums, workshops, and oral presentations. Please give feedback on the number of presentations.
Q4.シンポジウムについてお聞きします.特に内容が優れていたと思われたものがあれば挙げてください。シンポジウム名・コメント/ Symposia: Which symposium did you enjoy the most? Name of the symposium and Comments
Q5.ワークショップについてお聞きします.特に内容が優れていたと思われたものがあれば挙げてください。ワークショップ名・コメント/ Workshop: Which workshop did you enjoy the most? Name of the workshop・Comments
Q6.Oral Presentationについてお聞きします。/ Regarding oral presentations:①発表時間について/ Length of the presentation time
Q6.Oral Presentationについてお聞きします。/ Regarding oral presentations:②演数について/ The number of presentations
Q7.ポスターの配置や発表時間は、いかがでしたか?/What do you think of the length of the poster sessions
Q8. World Cafeについてお聞きします。/ Regarding World Cafe:①World Cafe1ラウンドの長さについて(1ラウンド25分でした)/ Length of each round at the World Café (25min.)
Q8. World Cafeについてお聞きします。/ Regarding World Cafe:②World Caféのラウンド数について(今回は4ラウンドでした)/ The number of rounds at the World Café (4 rounds)
Q9.英語での発表については、いかがでしたか?/ What do you feel about the presentations in English?
Q10.日本語での発表については、いかがでしたか?/ What do you feel about the presentations in Japanese?
Q11.研究者間の交流環境は十分サポートされていましたか?/ Do you feel if the meeting environment would have been suitable to communicate with other researchers?
Q12. Web abstract bookは、いかがでしたか? / What do you think of the Web abstract book ?
Q13. Beer & Cocktail Partyは、いかがでしたか? / How was the Beer & cocktail party ?
Q14. その他の要望やご意見(会場アクセス、プログラム全般、会場運営、その他)がありましたらご記入ください。/ Any additional comments (regarding access to venue, the meeting program, meeting organization, etc.)
以下は、次期大会についての要望をお聞きします。/ The following questions are regarding the next annual meeting
Q15.学会の時間に関して/ Regarding meeting hours
Q16.招待講演者、Symposium講演者に関して/ Regarding invited speakers and symposium speakers
Q17.Symposiumに関して(複数回答可)/ Regarding symposia (more than one choice possible)
Q18.Workshopについて/ Regarding workshop
Q19. World Cafeについて/ Regarding world café
Q20. Web abstract bookに関して/ Regarding Web abstract book
Q20. Web abstract bookに関して/ Regarding Web abstract book:「希望する機能をご記入ください」/ Please list functions you would like to have: Please comment
Q21. 口頭発表賞について/ Regarding Oral Award
Q22. ポスター発表賞について/ Regarding Poster Award
2023.07.10
青山裕彦さんの訃報に接して
1992年松山で開催された日本解剖学会の懇親会にて
左から安田峯生先生、青山裕彦さん、Nicole Le Douarin先生、筆者、竹内(丹)京子さん、絹谷政江さん
青山裕彦さんが2023年6月25日に上行結腸癌でお亡くなりになりました。70歳でした。青山さんより5歳も年上のものとしては非常に寂しさを感じます。
青山さんは1980年に京大理学部の岡田節人先生の研究室で博士の学位を取得し、1981年から新設の福井医大の解剖学教室の助手になっています。福井医大は1980年に開学していますが、解剖学教室は京都府立医大から野条良彰先生が教授で渡辺憲二君が助教授で赴任しています。2018年に渡辺君が亡くなり、このたび青山さんの訃報に接しほんとに寂しくなります。
解剖学教室に赴任した時は、ヒトの体の構造を理解しその解剖学名を覚えることと、新設の医大で実習標本を作ったりするので大変だったと思いますが、赴任して次の年の1982年から2年間青山さんはパリ郊外Nogent-sur-Marneにある発生学研究所に留学しています。私はそこに1979年から1980年まで留学していましたが、私が帰国する前から青山さんの留学は決まっていました。
研究所の所長はウズラとニワトリの細胞を識別することが出来ることからニワトリウズラキメラを作って神経堤細胞の分化のレパートリーを明らかにしていったNicole Le Douarin先生でしたが、青山さんはアメリカのEdelman博士のところからフランスに帰って来て、研究を展開していたJean-Paul Thiéryにつき、神経堤細胞の移動と細胞接着因子についての研究を行っています。神経堤細胞は神経上皮と表皮との境界部の細胞が上皮から飛び出していろいろなところに移動していき、色素細胞、神経節細胞、副腎髄質細胞などに分化していきます。彼は神経節細胞が上皮構造からバラバラの細胞になり、それから集合して神経節を作るメカニズムの研究に従事しています。移動前の上皮構造をとっている神経堤細胞に発現しているカルシウム依存性のL-CAMはバラバラの細胞になると発現が消え、集合の際も再発現することはないが、移動前に発現していたカルシウム非依存性のN-CAMは、バラバラの細胞では発現量が少なくなるが、自律神経節、脊髄神経節として集合する際にまた発現が増してくると言うことを、Cell Differ誌に発表しています。自律神経節の前駆細胞の方が脊髄神経節の前駆細胞よりもN-CAMが早めに発現してくると言うことも報告しています(1)。L-CAMは竹市先生の見つけたE-Cadherinと同じ分子ですが、CAMの発見者であるEdelmanの呼び名でL-CAMとしているところは、青山さんなりに葛藤があったのではないかと思います。
留学後は福井医大に戻りますが、そこで彼は体節の移植により、その頭尾軸、背腹軸がいつ決まるかという研究、肋骨がどこから出来るかというような研究を行っています。留学中はそういう移植の研究は行っていませんが、独自に習得したと思われ、非常に独創的な研究を行ったと思っています。代表的な研究結果は、ウズラ胚の体節を半分に切ったり、あるいは方向を変えたりしてニワトリ胚に移植した実験で、体節の頭尾軸は体節が出来てしばらくしてから決まることを示しています。神経堤細胞は体節の頭側半分内を移動して脊髄神経節を作るが、体節の頭尾軸が決まった後に頭尾軸を逆転して移植すると、脊髄神経節は体節の本来頭側だったところに作られること、そしてその結果肋骨や椎骨の向きも逆転することを示しています(2)。
私は1994年2月まで京都府立医大の生物学教室にいましたが、1994年3月に東北大学加齢医学研究所に転出しました。その後に生命誌研究館で研究員をしていた荒木正介さんが私の後任として府立医大に移りました。青山さんは1995年に福井医大から生命誌研究館に移動しています。
私の師匠である安田峯生先生は2002年に定年で、広島大学第一解剖学教室をやめ広島国際大学に移りました。青山さんは安田教授の後任として2002年に広島大学第一解剖学教室の教授になっています。そこでは体節関係の研究を継続すると共に、肉眼解剖学の教育に力を入れ、解剖学関係の論文も発表しています。2018年には広島大学を定年でおやめになり、広島国際大学で特任教授として研究・教育を行っていました。
改めて青山さんの足跡をたどってみると、私自身と非常に近いところを通っていたことに気がつきました。青山さんのご冥福をお祈り致します。
(日仏生物学会誌にも掲載予定)
文献
(1) Aoyama H, Asamoto K. 1988 Determination of somite cells: independence of cell differentiation and morphogenesis. Development, 104, 15-28
(2) 2) Aoyama H, Delouvée A, Thiery JP. 1985 Cell adhesion mechanisms in gangliogenesis studied in avian embryo and in a model system. Cell Differ., 17, 247-260
2023.02.10
生物科学学会連合から報道機関関係者の方々へのお願いについて
生物科学学会連合から以下の内容を主要メディアに発信するとの連絡がありましたので、お知らせいたします。
生物科学学会連合から報道機関関係者の方々へのお願い
日頃、新聞、雑誌、テレビ、ウェブ配信など、様々なメディアで科学研究関連のニュースを取り上げていただきありがとうございます。科学研究の成果は、通常、原著論文という形で専門雑誌に発表されますが、その内容をわかりやすく一般の方々に伝えることも、非常に重要な研究活動の一つです。
ここで、研究者のプレスリリースをメディアで取り上げていただくにあたり、お願いしたいことがあります。それは、科学研究に関するあらゆる報道で、原典の論文を引用していただくことです。原典を参照することによって、読者や聞き手は研究の詳細を知り、結果の背景を正確に理解することができます。誤った解釈がいたずらに拡がっていく危険性を防ぐこともできます。
特にお願いしたいのが、ウェブサイト版の記事に原典へのリンク(doiやPubmed IDなどの固有インデックス)を付けていただくことです。多くの読者は実際に原典を参照することはないかもしれませんが、原典へのリンクがあることで正確性や透明性が高まり、報道の影響力も強くなることでしょう。また、近年は学術論文を評価する上で、注目度や社会的影響を加味したオルトメトリクス(altmetrics)という指標も用いられるようになってきており、報道に原典へのリンクが付くことで、国際社会における我が国の研究の認知度が大きく向上する効果も期待できます。
研究者が情報発信できる手段は限られており、一般の人々が最新の研究成果にアクセスするためには、報道関係者の方々の力が欠かせません。日本の研究をより発展させるためにも、報道における原典の引用に、ぜひご協力をお願いします。
生物科学学会連合 加盟34学協会
個体群生態学会,染色体学会,日本味と匂学会,日本遺伝学会,日本宇宙生物科学会,日本解剖学会,日本細胞生物学会,日本時間生物学会,日本実験動物学会,日本植物学会,日本植物形態学会,日本植物生理学会,日本進化学会,日本神経化学会,日本神経科学学会,日本人類学会,日本生化学会,日本生態学会,日本生物教育学会,日本生物物理学会,日本生理学会,日本組織細胞化学会,日本蛋白質科学会,日本動物学会,日本農芸化学会,日本バイオインフォマティクス学会,日本発生生物学会,日本比較生理生化学会,日本比較内分泌学会,日本微生物生態学会,日本分子生物学会,日本分類学会連合,日本免疫学会,日本薬理学会(五十音順)
2022.12.01
一般社団法人日本発生生物学会第4期会長候補者および理事候補者選挙の結果報告
会長候補者選挙
第1次選挙結果(10月24日開票)
投票総数:198票 無効票:0票
有効票数の過半数を得た会員がいなかったので、規程により上位3名(高橋淑子会員、田村宏治会員、林茂生会員(50音順))を候補者として第2次選挙を行うこととしました。
第2次選挙結果(11月17日開票)
投票総数:273票 無効票:0票
この結果、定款および規程に基づき、高橋淑子会員が会長候補者かつ理事候補者に選出されました。
理事候補者選挙
有効投票総数:2,155票
規程第七条4・5に基づき、14名の理事候補者が選出されました。
当選者(50音順、敬称略)
阿形清和、入江直樹、永楽元次、大澤志津江、倉永英里奈、近藤滋、杉村薫、武田洋幸、田村宏治、中村輝、丹羽隆介、林茂生、藤森俊彦、吉田松生
次点:田中幹子
補足:
規程 第七条
4 当選者は得票数の多いもの14名とする。ただし、得票数で上位14番目までに同数得票数があり、その総数あるいはそれより上位の得票者を含めた数が15あるいは、それを超える場合は下位の同数得票数について選挙管理委員の抽選により当選者を決定する。
5 第六条で選出された会長候補者が、理事候補者選挙において上位14番目以内の得票数があった場合には、次点者を理事候補者として繰り上げて当選者とする。
「定款 第二十三条 理事及び監事は、規程に定める手続きに従って社員総会の決議によって選任する。」により、第5回社員総会(2023年6月オンライン開催予定)において選任されます。
「第二十三条 2 理事会は、理事の中から会長の選定及び解職を行う」により、会長は理事会(社員総会と同日に開催予定)において選定されます。