2025.01.06
高橋会長メッセージ(2025年1月)
2025年、あけましておめでとうございます。
先の会長選挙の結果をうけ、2期目も会長として務めさせていただくことになりました(正式には6月の理事会と総会での手続きを経て決定されます)。少々気が早いですが、2期目もどうぞよろしくお願い申し上げます。
「正月休みぐらいは心穏やかに過ごせる(あるいは過ごしたい)」という気持ちは、以前は当たり前のように受け止めておりましたが、1年前の能登半島地震を受け、大地震は元旦でもお構いなく襲ってくるということを思い知らされました。能登半島の復旧復興が遅々として進まない現状を見るたびに心が痛みます。一方で、炎天下そして雪降る中での若いボランティアたちによる懸命な貢献の姿を見ると頭が下がる思いであり、日本の未来も明るいぞという気持ちになります。
ところで、私たちは発生生物学者としてどのような社会貢献ができるのでしょうか。昨今、研究費応募時や成果報告時において、「社会貢献」という言葉と対峙することが多くなりました。いろんな人と話をしてみると、この言葉は治療法や創薬、特許、(メディアや市民講座などによる)アウトリーチ活動といったイメージとして捉えられているようです。もちろんこれらの活動も重要ですが、ともすればこれらのウエイトが強調されすぎて、基礎研究の本質を見失っているのではないかと感じるケースも散見されます。これは日本のみならず世界的な潮流のようで、海外の友人(発生生物学者)と話をすると、このような潮流を憂いている人も少なくありません。
私自身は、本質を探る優れたサイエンスそのものが、未来の社会づくりに大きく貢献するはずである、と確信しております。しかしそのためには、我々科学者も相当の努力をする必要があります。必死に脳みそを絞って考えるのはもちろんですが、たとえば学会や研究会で、研究成果やその発展性などについて真剣に議論をすることも重要です。そのためには、研究発表が一方通行ではなく、広く聴衆に理解される必要があります。また自分の専門外の分野にも好奇心をもって近づくことも有効です。「次世代に向けた社会貢献」は、このような日々の地道な努力があってこそといえるでしょう。プロ同士、心を揺さぶる(揺さぶられる)研究が、日本発生生物学会から次々に生まれるような学会運営を目指してまいりたいと思います。
今年は、7月に日本発生生物学会と日本細胞生物学会の合同大会が名古屋で開催されます(JSDB大会長:大澤志津江さん、JSCB大会長:井垣達吏さん)。普段あまり目にしないトピックスにも大いに首を突っ込んでみてください。きっと何か新鮮な発見があるはずです。また来年の2026年発生生物学会大会(@広島:荻野肇大会長)では、フランス発生生物学会とのジョイントシンポジウム等も企画され、多くの発生生物学者がフランスから来訪される予定です。
最後に私からのお願いメッセージをもって、新年の挨拶といたします。
「(特に中堅の人たちは)これから「目利き」として日本の発生生物学を支えていって欲しい。(全学会員のみなさんは)無限の伸びしろをもっている今の学生たちに、発生生物学のワクワク感をたっぷり語って欲しい。」
2025年も、のびのびと はっちゃけてください!
先の会長選挙の結果をうけ、2期目も会長として務めさせていただくことになりました(正式には6月の理事会と総会での手続きを経て決定されます)。少々気が早いですが、2期目もどうぞよろしくお願い申し上げます。
「正月休みぐらいは心穏やかに過ごせる(あるいは過ごしたい)」という気持ちは、以前は当たり前のように受け止めておりましたが、1年前の能登半島地震を受け、大地震は元旦でもお構いなく襲ってくるということを思い知らされました。能登半島の復旧復興が遅々として進まない現状を見るたびに心が痛みます。一方で、炎天下そして雪降る中での若いボランティアたちによる懸命な貢献の姿を見ると頭が下がる思いであり、日本の未来も明るいぞという気持ちになります。
ところで、私たちは発生生物学者としてどのような社会貢献ができるのでしょうか。昨今、研究費応募時や成果報告時において、「社会貢献」という言葉と対峙することが多くなりました。いろんな人と話をしてみると、この言葉は治療法や創薬、特許、(メディアや市民講座などによる)アウトリーチ活動といったイメージとして捉えられているようです。もちろんこれらの活動も重要ですが、ともすればこれらのウエイトが強調されすぎて、基礎研究の本質を見失っているのではないかと感じるケースも散見されます。これは日本のみならず世界的な潮流のようで、海外の友人(発生生物学者)と話をすると、このような潮流を憂いている人も少なくありません。
私自身は、本質を探る優れたサイエンスそのものが、未来の社会づくりに大きく貢献するはずである、と確信しております。しかしそのためには、我々科学者も相当の努力をする必要があります。必死に脳みそを絞って考えるのはもちろんですが、たとえば学会や研究会で、研究成果やその発展性などについて真剣に議論をすることも重要です。そのためには、研究発表が一方通行ではなく、広く聴衆に理解される必要があります。また自分の専門外の分野にも好奇心をもって近づくことも有効です。「次世代に向けた社会貢献」は、このような日々の地道な努力があってこそといえるでしょう。プロ同士、心を揺さぶる(揺さぶられる)研究が、日本発生生物学会から次々に生まれるような学会運営を目指してまいりたいと思います。
今年は、7月に日本発生生物学会と日本細胞生物学会の合同大会が名古屋で開催されます(JSDB大会長:大澤志津江さん、JSCB大会長:井垣達吏さん)。普段あまり目にしないトピックスにも大いに首を突っ込んでみてください。きっと何か新鮮な発見があるはずです。また来年の2026年発生生物学会大会(@広島:荻野肇大会長)では、フランス発生生物学会とのジョイントシンポジウム等も企画され、多くの発生生物学者がフランスから来訪される予定です。
最後に私からのお願いメッセージをもって、新年の挨拶といたします。
「(特に中堅の人たちは)これから「目利き」として日本の発生生物学を支えていって欲しい。(全学会員のみなさんは)無限の伸びしろをもっている今の学生たちに、発生生物学のワクワク感をたっぷり語って欲しい。」
2025年も、のびのびと はっちゃけてください!
2025年1月
日本発生生物学会 会長(代表理事)
高橋淑子
日本発生生物学会 会長(代表理事)
高橋淑子