2022.12.08

岡田節人基金 ISDB海外派遣報告書 鹿谷有由希(京都大学)

京都大学大学院理学研究科
鹿谷有由希(D5)
この度は、岡田節人基金海外派遣助成のもと、ポルトガルのサルガドスで開催されました第19回国際発生生物学会(ISDB)に参加させていただきました。

 私にとって今回が初めての国際学会であり、参加を決意するのにも随分と勇気を要しましたが、加えて開催地がサルガドスというポルトガルの首都リスボンから遠く離れた聞き慣れない場所であったため、一体どんな町なのか、ちゃんと辿り着けるだろうか、と期待と不安が入り混じったままバタバタと出国しました。途中ポルトガル国内の飛行機の乗り継ぎに遅れが生じたものの、丸一日かけて無事サルガドスのホテルに到着した時は、本当に来たんだなあ、と部屋で一人しみじみと思ったことを覚えています。
 今学会では、私はポスター発表を行いました。ポスター発表は学会二日目と三日目にそれぞれ一時間半ずつ時間が用意されており、私の発表日は二日目でした。19回大会は一年延期されたせいもあってか400近くのポスターがあり、ポスター会場の活気はすごいものでした。そんな中で自分のポスターにも人が来てくれるだろうかと不安な気持ちがありましたが、ポスターの前に立って少しすると一人二人と聞きに来て下さり、気付けばポスター発表の一時間半の間ほとんど休みなく話し続け、会場の熱気と緊張で全力疾走をした後くらい汗だくになっていました。聞きに来てくださった方は私と同じく腸管の研究をされている方が多く、私のたどたどしい英語にも丁寧に耳を傾け、色々と質問やアドバイスをして下さり、次はもっと活発な議論ができるようさらに努力しなければ、という思いを一層強くしました。
 また、ポスターを聞きに来てくれた方と翌日たまたま出会い一緒にお昼を食べたり、懇親会ではジャーナルの編集をされている方とお話をさせていただいたり、対面の学会ならではの楽しみがたくさんありました。学会会場は常に活気にあふれていて、そのあまりの賑わいに、私と話をしていた方のスマートウォッチが「危険な騒音です」とアラームを鳴らしたことが、今でもくすりと笑ってしまう思い出です。さらに休憩時間には、初めて見る大西洋に感動したり、カタプラーナという銀色の大きなどら焼きのような鍋で調理された郷土料理に舌鼓を打ったりと、出国前の不安は何処へやらすっかりポルトガルを満喫しました。

 今学会を通して、英語での発表の経験を得るだけでなく、世界トップクラスの研究者の発表と質疑応答を学んだり、自分と同年代の院生やポスドクと交流を深めたり、今後一人の研究者として生きていくために貴重な経験をさせていただきました。最後になりましたが、旅費をご支援いただきました日本発生生物学会関係者の皆様に心より感謝申し上げます。