2014.05.25

ISDB 2013 参加報告書 佐藤恵莉子(東北大学)

東北大学生命科学研究科生命機能専攻
神経機能制御分野 修士課程1年
佐藤恵莉子
この度、日本発生生物学会より旅費支援をいただき、2014年5月27日から30日まで名古屋で開催された第47回日本発生生物学会に参加しました。本学会ではシンポジウムやオーラルプレゼンテーションだけでなく、フラッシュトークや若手ワークショップなども行われており、若手研究者が多くの方から質問やアドバイスを受けられる場が設けられていました。また、ポスター発表も2日間にわたって行われ、なるべく多くの発表を聞けるようにと配慮されており、年会を単なる自己満足の発表の場とするのではなく、活発な議論を促し、発生生物学の分野を新たな段階へと進行させようとする気概が伝わってきました。一部を除いて全般にわたり英語を使用言語と設定したことも、分野の違いによって、内容理解が難しい発表もありましたが、自分自身だけでなく発生生物学会全体で見た時にも、今後必ず役に立つだろうと感じました。
私は本学会で、メカニカルストレスによる細胞分化制御についてポスター発表を行いました。研究内容が純粋な発生生物学とは少し異なっているため、聞きに来てくれる人があまりいないのではないかと不安に思っていましたが、当日は多くの方に発表を聞いていただくことができました。また、自分では気が付かなかった点について指摘を受け、意外な切り口からの質問を沢山いただけたことで、新たな課題がみつかり、今後の自分の研究について考える良い機会になりました。
その他の発表では、プレナリー・レクチャーでAlexander Schier博士やHans Clevers博士といった海外で活躍されている方々のお話を聞くことができて大変勉強になりました。また、分野外ではありますが特に興味を魅かれたのはカブトムシの角形成についての研究で、性差を司るdoublesexという遺伝子の働きをRNA干渉により抑えると雄にも雌にも未完成な角がつくられるというお話でした。カブトムシを対象とした研究に関する発表を初めて聞いたのでとても興味深い内容でした。このように個性的な発表が多くあるのも、発生生物学会の魅力の一つであると思います。

今回の発生生物学学会では多くの人の発表を聞くことができただけでなく、自分の研究成果も発表する機会をいただけたことはとても貴重な経験になりました。このような機会を与えて下さった日本発生生物学会、並びに関係者の方々に深く感謝いたします。
2014.03.26

ISDB 2013 参加報告書 茂木淳(東北大学)

東北大学農学研究科修士2年
茂木 淳

私は東北大学農学部海洋生物科学科に所属し、ヒラメに備わっている概日リズムの形成機構について研究しています。そのため、発生生物学会では普段では聞けない、様々な生物の発生に関する研究を聞くことができ、新鮮な気持ちで学会を通して勉強することができました。各生物でのTALENやCrispr/cas9を用いた遺伝子ノックアウトの研究は初めて目にするものが多く、衝撃を受けました。異なる種間での発生のメカニズムには相違点、類似点がそれぞれあります。まだ勉強不足な私にとって、それらの知見を多く知ることで、点と点を線で繋ぐように、発生学の全体像を少し垣間見えるような気がしました。また自身のポスターのディスカッションでも、国内外の多くの研究者の方に話を聞いていただき、貴重な意見をいただくことができました。特に予想していたよりも多くの海外の方に興味を持っていただけたことが嬉しかったです。しかし私の英語力の低さから、質問に対して十分に解答、議論することができなかったことが心残りで、やはり英語をもっと勉強しようと切実に思いました。また若手の研究者と交流し、意見交換をすることができたことは良い体験になったと思います。

以上のことから、今大会への参加は私のような院生にとっても今後の研究につながる貴重な機会になりました。最後に、このたびの学会参加に際して東北復興として旅費を支援して下さったこと、大変感謝しています。私の住む仙台も地震により特に海沿いは大きな被害を受けました。多くの研究者がそれぞれの関わり方で、東北の復興に向けて活動しています。私自身も、微力であっても自身のできることを考えて、被災地と末長く関わり続けていきたいです。
2014.03.23

ISDB 2013 参加報告書 小野寺望(岩手大学)

岩手大学大学院 連合農学研究科
寒冷圏生命システム学専攻
小野寺望
複数年にわたり震災支援旅費補助をして頂き、心より感謝申し上げます。
東日本大震災により母親が津波に巻き込まれ亡くなりました。そのため震災から今まで、私は週末や研究活動の合間を利用して、母の代わりに祖母の介護の手伝いをしています。また研究の進展に伴い、アルバイトに割くことの出来る時間も殆ど無くなってきました。更に、研究室の財政状況が悪く旅費の補助が困難であるため、震災以来、この制度を利用させて頂いております。
発生生物学会は私が学部4年生であった2009年から毎年参加しており、これまで何度かポスター発表など行い、今年度は初めて口頭発表をさせて頂きました。今回は、本大会0日目のサテライトワークショップにて「ニワトリ胚中脳視蓋でみられる転写因子をコードする軸索性mRNA」という発表を行いました。質疑応答時には貴重なコメントを頂き、現在、それらを研究にフィードバックさせつつあるところです。この研究の半分ぐらいのデータは数年前に既に得ていましたが、データの信憑性を上げることに腐心したり、あるいは中途半端なデータを公開するとビッグラボに真似されて追い越されてしまわないかという懸念もあり、これまで長く非公開にしていました。
例年そうですが、今回の年会でも、他の研究者・大学院生の方々の発表に知的刺激をたくさん受けました。東北地方は県の面積が広く、岩手大学と隣の東北大学までの直線距離は、東京と福島県南端、あるいは理研CDBと基生研の間ぐらいの距離があるため、同じ/近い分野の研究者の話を生で聞いたり、discussionしたり出来る年会は自分にとって貴重な時間です。
最後になりましたが、本大会に参加するにあたり、多大なるご支援を下さった日本発生生物学会、学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。今回の経験を自身の研究生活に活かし、より一層深く研究に取り組んでいく所存です。