2022.02.01
日独合同若手ミーティング 参加報告書 池田達郎(基礎生物学研究所 生殖細胞研究部門)
11月28〜30日にオンラインで開催された日独合同若手ミーティングに参加しました。まずはミーティングを企画していただいたオーガナイザーの先生方に深く感謝申し上げます。私は現在のポスドクの仕事でドイツのグループと5年近く共同研究を行なってきました。それもあり、初めにこの合同ミーティングがドイツで現地開催されると聞いた際は、ぜひ参加してドイツの研究者と直に議論したいと考えていました。コロナ禍により1年延期した上でオンライン開催となってしまいましたが、現在の仕事を海外の方々に聞いてもらって見直す良い機会と考え、発表させていただきました。
今回のミーティングにはドイツの様々な地方の大学、研究所、さらには欧州の異なる国の大学、研究所から選りすぐりの方々が参加していました。ミーティングのテーマは”Stem cells, development, & regeneration: the emergence of new tissues”だったのですが、多様な生物・器官を対象に、胚発生、成長、恒常性維持、老化現象まで注目した話を多数聞くことができました。とりわけ、どの方々も生物の面白い現象に立脚して、基礎の興味をモチベーションに掘り進めているように感じられました。私は特に、魚類の生涯にわたる成長を支える組織幹細胞の研究と、耳に空いた穴を塞いで再生できるトゲネズミの研究に心が惹かれました。また、in vitroモデルの発表も多く、様々な組織の再構成技術が確立してきているとともに、再構成系を用いた発生現象の理解という研究スタイルが一般化していることを認識させられました。
私は” Clonal dynamics of murine developing male germ cells until the next generation”というタイトルで口頭発表しました。マウスでは胎仔に生じた始原生殖細胞(PGC)が増殖して精子幹細胞を生じ、そこから生涯に渡って精子が産生され、次世代の仔が生じます。このとき胎仔のPGC1つ1つがどの程度の幹細胞を作り出して次世代へと寄与するのかを、PGCを多様なDNA配列(バーコード)で標識して、それぞれの子孫細胞(クローン)の動態を追跡しています。このバーコード標識にドイツの共同研究者が開発した技術を適用しています。発生・幹細胞のクローン動態という、ミーティングのテーマと合致した内容だったのもあり、5人の方から質問をいただくことができました。これまで思い描いてきたクローン動態の生物学的な意義を提案し、意見を得ることができました。
海外の若手PIのエレガントな発表を聞きながら、彼/彼女らがいかに自分の立ち位置を見出し、プレゼンスを築き上げてきたのかを想像していました。どの方も一歩ずつ努力を重ねて模索してきたことが伝わってきました。私も目の前の仕事を最大限に楽しみつつ、彼/彼女らのようになれることを目指して精進しようと思います。
最後に、今回は時差のためドイツ朝、日本夕方に開始するプログラムで行われました。自分のデスクからオンラインで参加できて便利なぶん、夕方まで実験をしてからjoinして夜12時まで英語で発表を聞き、中々タフでした。またZoomではほとんどの聴衆の顔が見えず、発表の後の休憩時間などに気軽に声をかけてもらったり議論が始まったりといったことが中々なく、もどかしさを感じました。来年には海外渡航して実際に異国の研究者と顔を合わせ、リアルな議論ができることを期待しています。
今回のミーティングにはドイツの様々な地方の大学、研究所、さらには欧州の異なる国の大学、研究所から選りすぐりの方々が参加していました。ミーティングのテーマは”Stem cells, development, & regeneration: the emergence of new tissues”だったのですが、多様な生物・器官を対象に、胚発生、成長、恒常性維持、老化現象まで注目した話を多数聞くことができました。とりわけ、どの方々も生物の面白い現象に立脚して、基礎の興味をモチベーションに掘り進めているように感じられました。私は特に、魚類の生涯にわたる成長を支える組織幹細胞の研究と、耳に空いた穴を塞いで再生できるトゲネズミの研究に心が惹かれました。また、in vitroモデルの発表も多く、様々な組織の再構成技術が確立してきているとともに、再構成系を用いた発生現象の理解という研究スタイルが一般化していることを認識させられました。
私は” Clonal dynamics of murine developing male germ cells until the next generation”というタイトルで口頭発表しました。マウスでは胎仔に生じた始原生殖細胞(PGC)が増殖して精子幹細胞を生じ、そこから生涯に渡って精子が産生され、次世代の仔が生じます。このとき胎仔のPGC1つ1つがどの程度の幹細胞を作り出して次世代へと寄与するのかを、PGCを多様なDNA配列(バーコード)で標識して、それぞれの子孫細胞(クローン)の動態を追跡しています。このバーコード標識にドイツの共同研究者が開発した技術を適用しています。発生・幹細胞のクローン動態という、ミーティングのテーマと合致した内容だったのもあり、5人の方から質問をいただくことができました。これまで思い描いてきたクローン動態の生物学的な意義を提案し、意見を得ることができました。
海外の若手PIのエレガントな発表を聞きながら、彼/彼女らがいかに自分の立ち位置を見出し、プレゼンスを築き上げてきたのかを想像していました。どの方も一歩ずつ努力を重ねて模索してきたことが伝わってきました。私も目の前の仕事を最大限に楽しみつつ、彼/彼女らのようになれることを目指して精進しようと思います。
最後に、今回は時差のためドイツ朝、日本夕方に開始するプログラムで行われました。自分のデスクからオンラインで参加できて便利なぶん、夕方まで実験をしてからjoinして夜12時まで英語で発表を聞き、中々タフでした。またZoomではほとんどの聴衆の顔が見えず、発表の後の休憩時間などに気軽に声をかけてもらったり議論が始まったりといったことが中々なく、もどかしさを感じました。来年には海外渡航して実際に異国の研究者と顔を合わせ、リアルな議論ができることを期待しています。