○佐藤 ゆたか 佐藤 矩行
京都大・院理・動物
ホヤはもっとも原始的な体制を保持する脊索動物のひとつである。脊椎動物の進化の過程で少な くとも二度の大きなゲノムレベルでの重複が起こったとされるが、ホヤのゲノムはそれ以前の状態を保持して いる。すなわち、ホヤのゲノムには、脊索動物に共通の体制の構築に必要な基本的遺伝子セットが重複無く存 在していると考えられる。そこで、脊椎動物の起源と進化についての理解を進めるため、我々は、Ciona cDNA project consortiumおよびCiona genome project consortiumのメンバーの協力を得て、カタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)のゲノムプロジェクトおよびcDNAプロジェクトを展開し、その成果を公開している。 現在公開しているドラフトゲノム配列をもとにした予測では、ホヤのゲノムは?159Mbで、遺伝子数は15,852で あり、既知の脊椎動物ゲノムに比べはるかに小さく、おおよそショウジョウバエと同程度である。そこにコード される遺伝子のアノテーションにより、脊索動物がいかにして生じ、また、原始脊索動物からいかにして脊椎 動物が進化していったのかという問題をゲノム的視点から明らかにしつつある。 cDNAプロジェクトにおいては現在48万個のESTを得ており、そこにはホヤの全遺伝子の85%以上が含まれてい る。さらに、5つのステージでのべ5,000以上のin situ hybridizationによる遺伝子の空間的発現パターンの記載を終えている。 これらの情報はweb上で公開しており、また、cDNAクローンはEST情報をもとにして整備した’Ciona intestinalis Gene Collection’を配布している。ホヤは現時点でもっとも分子発生生物学的基盤の整った動物のひとつといえる。
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