[2P132]

カタユウレイボヤにおけるRA標的遺伝子群の探索


石橋 知子1  中澤 真澄2,4  小野 浩明2  佐藤 矩行3  五條堀 孝2  藤原 滋樹1

高知大・理・物質1,遺伝研・生命情報2,京大・院理・生物3 ,現所属・理研CDB4


脊索動物あるいは脊椎動物に特徴的な様々な形態は内在性のレチノイン酸(RA)によるコントロ ールを受けて形成される.RA受容体(RAR)の遺伝子は脊索動物にしか存在しないことから, 進化の途上でRAを利用するようになったことが脊索動物の体制を作るための重要なステップであったと考えら れる.ゆえに, 単純な体制でなおかつRARを持っているホヤのRA標的遺伝子群を探ることは, 脊索動物の基本的な形態形成と進化のメカニズムを理解する上で重要である.本研究では, マイクロアレイを用いてカタユウレイボヤ胚におけるRA標的遺伝子群の網羅的探索を行った.計9,287個のcD NAクローンを解析した結果, RAによって発現が変動する遺伝子を多数発見した.約100クローンについてin situ hybridizationを行い, RA処理による発現パターンの変化を調べた.RA合成酵素と思われるRALDHの発現パターンから, RAは比較的狭い領域で働いていると予想されている.しかしin situ hybridizationによる発現解析では, RAに応答する遺伝子の発現パターンは非常に複雑であった.例えば, Sodium-dependent neurotransmitter transporterは初期尾芽胚の脊索と頭部先端で発現しているが, RA処理によってこれらの組織での発現が抑えられ, 表皮で発現が上昇した.また, Voltage-gated potassium channel DRK1は間充織で発現しているが, RA処理によって頭部の先端と背側を除く表皮全体で発現が活性化した.このような複雑な影響は, RARの転写活性化能を調節する因子の発現がRAによって変化していることを示唆する.実際, RA分解酵素CYP26や, RARと拮抗的に働くと言われるCOUP- TFやTR4などの遺伝子の転写がRA処理によって活性化されることが今回のマイクロアレイ解析でわかった. また, RARのRA依存的な転写活性化因子としての機能に加え, RA非依存的な転写抑制因子としての機能も同じように正常に発生するために重要であるという可能性も考え られた.


Page Copyright (C) 日本発生生物学会 All Rights Reserved.