○升井 伸治 大塚 哲 丹羽 仁史
理研・発生再生セ・多能性幹細胞
未分化ES細胞特異的に発現が認められる遺伝子はOct-3/4やRex-
1(=Zfp42)をはじめ数種類が知られており、未分化状態のマーカー遺伝子として広く用いられているが、未分化
状態維持に必要であると証明されているのはOct-3/4のみである。
Rex-1 (=Zfp42) はOct-
3/4の下流遺伝子の一つであり、その発現はOct-
3/4の発現量が閾値以上に増加するとスクエルチング機構によって抑制されることから、Oct-
3/4とそのコファクターとの適切なバランスによって厳密に制御されていると考えられる。一方、生体内におい
てもRex-
1は興味深い発現パターンを示すことが知られている。マウス初期発生において未分化細胞集団は胚盤胞の
内部細胞塊として見出され、卵円筒胚へと発生が進行すると原始外胚葉とよばれる多能性が少し限局した細
胞に移行するのだが、内部細胞塊から原始外胚葉への移行に伴ってOct-
3/4の発現は持続するのに対し、Rex-1の発現は消失することが知られている。しかしながら現在までにRex-
1遺伝子産物の機能は全く明らかにされていない。Rex-
1のアミノ酸配列からはZnフィンガー構造をもつことが予測され、また様々な遺伝子の転写を制御する転写因子
YY1との相同性が認められることから、Rex-
1は転写因子として機能しうることが推測されている。本研究ではRex-
1と未分化状態維持機構との関係を探るべくマウスES細胞においてRex-
1遺伝子のノックアウトを行った。その結果Rex-1+/-細胞、-/-細胞ともにコロニーの形状等に変化はなく、-/-
細胞を用いてキメラマウスを作出することに成功した。その他の表現型解析の結果も合わせて報告する。
Page Copyright (C) 日本発生生物学会 All Rights Reserved.