○豊岡 やよい 大塚 哲 丹羽 仁史
理化学研究所・発生再生研・多能性幹細胞研究チーム
マウスES細胞は未分化細胞である胚盤胞の内部細胞塊(ICM)、及びエピブラスト(epiblast)の細 胞から樹立される。マウス着床前胚においては胚盤胞期に最初の細胞分化が起こり、胚の内側の細胞はICM へ、最も外側の細胞は胎盤形成へと寄与する栄養外胚葉へと分化する。着床前後の胚においてはICMからエ ピブラスト及び胚体外内胚葉(primitive endoderm)が分化し、その後円筒期胚においてエピブラスト細胞は上皮様の構造を取り、その後胎仔を形成す る原始外胚葉(primitive ectoderm; PrE)組織へと分化する。これら発生過程に見られる未分化細胞、ICM、epiblast、及びPrEでは、未分化性維持 に重要な役割を持つOct-3/4遺伝子が持続的に発現している。一方、Oct- 3/4遺伝子と共に未分化マーカーとして知られている転写因子 Rex- 1遺伝子は、ICM及びごく初期のエピブラストで高発現が認められるが、PrEにおいてはその発現量は急激に低 下する。 我々はOct-3/4遺伝子座にOct-3/4 - CFP融合遺伝子を、Rex- 1遺伝子座にGFPを各々マーカー遺伝子としてknock- inしたES細胞を樹立、観察し、ES細胞の培養系にはRex-1+/Oct-3/4+、及びRex-1-/Oct- 3/4+の2つの細胞集団が存在することを明らかにした。また、これら2つの集団は互いの位相へと移行すること ができることも判明した。我々はin vivoにおけるRex-1の発現パターン及びコロニーの形態から、Rex- 1+/Oct-3/4+の細胞集団はICMに近い性質を持つ細胞であり、Rex-1-/Oct- 3/4+の集団はPrEへと分化段階の進んだ細胞ではないかと仮定し、そのことを証明すべく現在2つの細胞集団 の遺伝子発現、及び分化能についての検定を進めている。
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