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プラナリアにおけるネオブラスト移植実験


橋口 敏幸1  前澤 孝信1  小林 一也1,2  松本 緑1  星 元紀1

慶應・理工・生命情報1,科学技術振興事業団2


プラナリアの柔組織中には未分化細胞の形態的特徴を持つネオブラストが多数存在しており、強 い再生能力はこの細胞の全能性に起因すると考えられている。Bagunaら(1989)は、致死線量のX線を照射し た無性個体のプラナリアDugesia tigrinaに正常な無性個体のネオブラスト画分を移植して生存させることに成功した。われわれは、ネオブ ラストに由来する各々の細胞の分化を追跡することを目指している。しかし、プラナリアでは、細胞培養系が未 だ確立しておらず、受精卵に直接マーカーを導入することも困難である。そこでわれわれは、このBagunaらの 移植実験が移植されたネオブラストの"in vivo"培養(分化)系として成立していることに注目し、今回、D. ryukyuensis無性クローンOH株で再現を行うことを試みた。OH株の致死X線照射量は最低1000 radであることを確認したので、この1000 radのX線照射個体にネオブラスト画分(細胞数104個)を移植し、移植部域前後で切断して、移植 部域を含む断片を観察した。その結果、非X線照射個体のネオブラスト画分を移植した場合47.5%が生存し、X 線照射個体のネオブラスト画分を移植した場合は12.5%であった。これによりネオブラスト画分にX線照射によ り失われた再生能を補う細胞が含まれていることが強く示唆された。次に、D. ryukyuensisの自然突然変異体である眼無し個体にX線照射し、眼がある正常なプラナリアのネオブラスト 画分を移植したところ、5断片中2断片が生存再生し、ともに正常な眼が形成された。これにより移植した細胞 がホストの体内で分化し眼を形成したと考えられ、ネオブラスト画分には少なくとも眼に分化できる細胞が含ま れることが示唆された。将来的にはこの系を用いてネオブラスト画分のあらゆる細胞への分化能を検討してい きたい。


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