○武尾 真1 野呂 知加子2 栃内 新1
北大・院理・生物1,理研・BRC2
ヤマトヒメミミズは通常の飼育条件下では砕片分離と再生により無性的に増殖する。これまで行
われてきた本種の再生に関する研究は実験形態学的手法が主であり、再生にかかわる遺伝子についての分
子生物学的研究はほとんど行われていない。そこで、我々はヤマトヒメミミズ再生の分子生物学的研究を開始
する手始めとして、再生の初期過程で発現が変化する遺伝子の単離および解析を行った。
サブトラクショ
ン法により、自切前と自切後6時間および12時間で発現量が異なる遺伝子断片クローンを101種類得た。それ
らすべてについて既知の遺伝子との相同性検索を行ったが、多くのものは低い相同性しか示さなかった。得ら
れたクローンのうち、部分的ながらも発生や細胞増殖に関係した遺伝子と相同性を示したクローンについて半
定量的PCRを行い、再生過程における発現量の変化を継時的に調べた。その結果、自切後12,24,あるいは48
時間に発現量が最少となり、脳や咽頭など自切前と同様の構造ができる96時間までに回復するパターンや、
自切後96時間まで発現量が減少し続けるパターンなど、クローンにより様々に異なる挙動を示した。今回定量
を行ったクローンの中には、切断面付近で細胞分裂が観察され始める直前の、自切後3時間で発現量が増加
するものがあった。in situ
hybridizationでこの遺伝子の発現組織を解析したところ、腸や表皮を構成する一部の細胞のほか、ネオブラス
トと思われる細胞で強く発現していた。再生時には腸や表皮で活発な細胞分裂が起こることや、ネオブラスト
が分裂しながら再生が形成に参加することなどから、この遺伝子は再生に参加する分裂中または分裂直前の
細胞に特異的に発現するものである可能性が考えられた。今回はこのクローンの解析を中心に、いくつかのク
ローンについて再生過程における発現量の変化および発現組織について解析した結果を報告する。
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