○田中 義久 三戸 太郎 大内 淑代 野地 澄晴
徳島大・工・生物工
不完全変態類昆虫の幼虫の脚は切断されても再生するが、その分子メカニズムはまだほとんど 解明されていない。我々はコオロギをモデル昆虫として選び脚再生の分子メカニズムを研究している。現在ま でにwingless(wg),decapentaplegic(dpp),hedgehog(hh)など発生過程と共通の因子が再生過程の初期に おいても関与していることがわかった。しかし再生過程に特異的に働く遺伝子も存在していると考えられる。そ こでPCR- cDNAサブトラクション法により再生脚と正常脚で発現差のある遺伝子を増幅し、コオロギの再生特異的遺伝 子の単離を試みた。コオロギ脚切断後、三日後の再生芽からmRNAを抽出し、切断していない脚から抽出した mRNAを用いてサブトラクションを行った。サブトラクション産物をベクターに組み込みランダムに192クローン のシークエンス解析を行った結果、約60種類のクラスターに分類することができた。In situ hybridization法によりこれらの再生過程における発現パターンを解析した結果、少なくとも5種類のサブトラク ション産物について再生芽に限局した発現が見られた。発生過程における発現パターン解析を行ったところ、 それら5種類のうち3種類は脚の発生過程でも発現が見られた。その中には後脚(T3)の符節の一部分のみで 発現が見られたものもあり、後脚のアイデンティティーと関係している可能性が考えられた。また別の1種類は 脚ではなく脳でのみ発現が見られた。さらに再生過程において強く発現するが発生過程では発現が見られな いものが1種類含まれていた。これらのcDNAのRNAi法による遺伝子機能解析を進めていき再生過程での役 割を明らかにしたい。
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