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イモリ網膜の再生における色素上皮の増殖・分化と細胞成長因子の機能


満田 早苗  吉井 千夏  荒木 正介

奈良女子大・理・生物


イモリの網膜を除去すると、色素上皮は増殖、脱分化を経て網膜に分化する。私たちは、網膜再 生のメカニズムを研究する目的で、これまでにイモリ色素上皮の器官培養を行い、培養下で色素上皮が増殖し 、ニューロンに分化することを明らかにした。ただし、色素上皮を脈絡膜と分離せずに培養する場合には、ニュ ーロン分化が見られるが、色素上皮を単独で培養すると上皮形態がよく保たれ、ニューロンには分化しない。 このことから再生には脈絡膜が必要であることが示された。では、脈絡膜は色素上皮の増殖とニューロン分化 にどのような機能をもつのか?脈絡膜由来の拡散性の因子が機能している可能性を検討するために、膜フィ ルターで色素上皮と脈絡膜を隔てて培養したところ、色素上皮は上皮形態を失い、遊走性を示した。次に、色 素上皮の単独培養に、FGF, IGF, PDGF, EGFなどを加えて、その効果を調査した。その結果、色素上皮単独の培養下でも、FGFとIGFを同時に加えると 、脈絡膜が存在する場合と同様にニューロン分化がおこることが明らかになった。一方、色素上皮を脈絡膜と 結合したままで培養し、FGFシグナル阻害剤、SU5402を投与した場合、特定のニューロンの形質発現が失わ れるが、一定数のニューロンの分化が見られた。これらのことから、イモリの網膜再生には、脈絡膜が重要な 機能をもつこと、脈絡膜は複数の拡散性の細胞成長因子を介して色素上皮の増殖・分化転換を促進すること が示唆された。 文献:Ikegami et al. (2002) J. Neurobiol. 50:209-220.


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