○宇治 督 黒川 忠英 鈴木 徹
独法・水研センター・養殖研
脊椎動物胚発生においてレチノイン酸処理や、レチノイン酸シグナルを阻害すると、様々な器官、
例えば肢芽、鰓弓(咽頭弓)、中枢神経系などに影響がでる。また色素細胞などに分化する神経冠細胞がレチ
ノイン酸欠乏で細胞死を起こすことも知られている。このようにレチノイン酸シグナルは明らかに、異なる発生
過程に、異なる組織に異なる影響を与えている。
トラフグやヒラメ仔魚期においてレチノイン酸処理すると、色素異常や骨形成異常が起こることを当研究室で
観察している。そこで有用魚類胚期でのレチノイン酸による色素細胞系譜、骨細胞系譜への分子レベルでの
影響の有無を調べる目的として、ordered differential
display法を用いてレチノイン酸に制御されている新規遺伝子群を探索した。実験材料としては全ゲノムの塩基
配列が利用可能なトラフグを使用した。この方法の利点は少量のtotalRNAで原理的にはすべての発現する遺
伝子のプロファイルを作製することができるということである。また実験材料にトラフグを用いることでRACE法
を必要とせず遺伝子を同定できるという利点もある。
この方法を用いてレチノイン酸に応答する一次候補遺伝子をスクリーニングを行い、現在のところ、既知の遺
伝子としてHoxA4, HoxB5, RAR, alfa-
tubulinなどを同定した。その他に新規の遺伝子としてzinc finger protein, membrane glycoprotein,
permeaseなどを検出した。また、二次スクリーニングとして半定量的PCRおよびwhole mount in situ
hybridizationを随時行っているので、それらの結果も報告する予定である。
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