Bensheng Ju1 Inna Pristyazhnyuk1 Tatiana Ladygina1 木下 政人2 尾里 建二郎1 ○若松 佑子1
名大・生物機能開発利用・器官機能1,京大・院農・応用生物2
メダカで体細胞の核移植法を確立するために、二種類のトランスジェニック系統からの培養細胞 の核をヒメダカの除核していない未受精卵に移植した。 第一のトランスジェニック系統は体色が野生型で、導入遺伝子としてメダカポリペプチド鎖伸張因子1α- A遺伝子のプロモーターに結合したGFP遺伝子をもっていた。この系統の成魚の尾鰭から培養して得られた繊 維芽細胞をドナーとして用いた。1084個の移植で54%が胞胚期まで、43%が嚢胚期まで発生した。この中の約1/ 3がGFPを発現した。24%が9体節期(黒色素細胞が分化する時期)まで発生し、この中約半数がGFPを、1/5が 黒色素細胞を分化させた。0.6%(7個体)が孵化し、この中3個体がGFPを発現した。GFPの発現パターンはトラ ンスジェニック系統のものと同一であったが、多くの個体で発現は弱く、細胞間でモザイクであった。黒色素細 胞の分化も時期的には正常のものが見られたが、多くの個体で数や形態が異常であった。 第二のトランスジェニック系統は体色がヒメダカ型で、導入遺伝子としてメダカβ- アクチン遺伝子のプロモーターに結合したGFP遺伝子をもっていた。この系統の6日胚由来の培養細胞をドナ ーとして用いた。1226個の移植で63%が胞胚期まで、47%が嚢胚期まで、30%が3日胚まで発生した。この中の1/ 4が筋肉特異的にGFPを発現した。1.7% (21個体)が孵化し、この中6個体がGFPを発現したが、発現はモザイクであった。生存は最長3週間であった。 第二の実験でGFPを発現した20個体について染色体数を調べたところ、すべてにおいて半数体、2倍体、3倍体 などのモザイクであった。マーカー遺伝子の発現や染色体数に見られるモザイク性は卵核と移植核の間にあ る細胞周期の差によると考えられるので、この問題の解決が今後の課題である。
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