○伊奈 佐和子 恒川 直樹 中村 文 野瀬 俊明
三菱化学生命科学研究所
私達は、生殖細胞特異的RNAヘリケース活性を持つマウスVasa ホモログ(MVH)タンパク質の機能を解明する目的で、Mvhノックアウトのホモマウス精巣で発現が低下してい る遺伝子のクローニングを行った。選択的PCRサブトラクションにより得られたcDNAクローンのうち一つはマ ウス精巣cDNAデータベースの二つのcDNA配列と一致し、ヒト細胞死制御遺伝子Avenと高いホモロジーを示 した。二つのマウス精巣cDNA配列は約800 bpの共通配列を持ち、エキソンの異なる転写開始点の選択的使用により5ユ 領域は全く異なっていた。短い方の転写産物 (mAven-S) と長い転写産物 (mAven-L) は各々216と342アミノ酸をコードしており、いずれも主にアダルトの精巣で発現していた。mAven- Sの発現は精巣に限定されMvhホモマウスでは僅かであったのに対して、mAven- Lは完全には精巣特異的ではなく、また全ての発生ステージに於いて精巣での発現が見られた。In situ ハイブリダイゼーションの結果、mAven- Sは主に第二減数分裂後の精子細胞(round)特異的に発現していた。このタンパク質は精子形成過程に於け るステージ特異的なアポトーシスの制御に関与していることが考えられる。
Page Copyright (C) 日本発生生物学会 All Rights Reserved.