○西野 光一郎 服部 奈緒子 田中 智 塩田 邦郎
東大院・農生命・細胞生化学
哺乳類において、DNAのメチル化は主に5′ -CG-3′ 配列(以下CpG)のシトシンの5位の炭素が修飾を受けて起こることが知られ、遺伝子のサイレンス機構と関連 していることが報告されている。Sry(sex determining region on Y chromosome)遺伝子は、精巣決定遺伝子であり、妊娠中期に雄の生殖巣で一過性の特異的な発現を示す。マ ウスSry遺伝子は、胎生期の10.5日目から12.5日目にかけて、雄の生殖巣の前駆セルトリ細胞でのみ特 異的に発現し、精巣の分化を誘導する。しかし、その発現量の低さと組織特異性の為に、Sry遺伝子の 発現調節機構については、現在まで明らかになっていない。本研究において、我々は、Sry遺伝子のプ ロモーターと思われる領域にCpG高頻度領域を同定した。この領域について、bisulfite restriction mappingおよびbisulfite sequence解析を行ったところ、Sryの発現する11.5日胚の生殖巣では、低メチル化状態であったのに対 し、発現のない11.5日胚の肝臓では高メチル化状態が8.5日から維持されていた。Sry遺伝子座におい て、組織特異的メチル化・脱メチル化パターンを示すことを明らかにし、組織特異的メチル化可変部位(tissue- and stage-dependently methylated region:T- DMR)を同定した。Sry遺伝子における胎仔生殖巣特異的な脱メチル化パターンは、Sryの組織特 異的発現パターンと完全に一致する。さらに、Sryプロモーターにルシフェラーゼを融合したレポーター コンストラクトをメチル化させ、11.5日胚の生殖巣細胞に導入すると、レポーター遺伝子の発現が有意に抑制さ れた。以上の結果から、Sry遺伝子の発現調節機構にDNAメチル化が重要な役割を果たしていることが 示唆される。
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