○的場 章悟 金井 克晃 城所 知秀 野馬 隆志 佐藤 剛 九郎丸 正道 林 良博
東京大・院農・獣医解剖
哺乳類のSryは精巣形成を誘導するマスター遺伝子である。その発現は、未分化生殖原基 で一過性に認められ、マウスでは14tail somite stage(ts)(胎齢11.0日)から開始し、18ts(11.5日)でピークに達した後減少し、24ts(12.0日)までに消失する。 Sryの発現により、16-18tsで体腔上皮細胞の増殖、中腎細胞の生殖隆起への侵入が促進され、24ts以降 に精細管形成を誘導する。これまで我々は、胎子精巣特異的に性分化期の体細胞内にグリコーゲン顆粒が存 在することを見出しており、今回、体細胞内でのグリコーゲン蓄積とSryとの関連性について詳細な検 討を行った。10tsから2ts(約4時間)ごとに生殖原基を採取し、PAS染色により組織学的に解析した結果、12tsま での生殖隆起内の体細胞は雌雄とも陽性反応は認められなかった。しかし、Sryの発現が始まる14tsに おいて、生殖細胞に隣接する一部のSF- 1陽性細胞がPAS陽性を呈し、その数は16-18tsで顕著に増加し、18ts以降生殖細胞を取り囲んだ一次性索様 の構造をとることが明らかとなった。これは、Sryの発現開始時期と一致してセルトリ前駆細胞にグリコ ーゲンの蓄積が誘導されることを強く示唆する。さらに、このグリコーゲンの蓄積がSryに直接起因する のかどうか検討するため、Sry性転換Tgマウスを用いた結果、XY個体の生殖原基と同様にXXsry個体においてもPAS陽性細胞が生殖細胞周囲に認められた。以上の結果から、セルトリ前駆細胞内にお けるグリコーゲンの蓄積は、Sryの直接的な下流カスケードに含まれ、さらに生殖細胞との相互作用が 関与していることが強く示唆された。本会では、Sryからグリコーゲン代謝調節へのシグナル経路につ いて、生殖細胞との関連性も含めて考察したい。
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