○門谷 裕一1 望月 麻友美2 野水 基義2 山科 正平1
北里大・医・解剖1,北大院・地球環境2
基底膜成分のラミニンはα、β、γの3種のポリペプチドからなる600-900kD のヘテロ3量体タンパク質で、α1?5鎖、β1?3鎖、γ1?3鎖のアイソフォームがある。α鎖のC末部は球状( G)ドメインを構成し、ここには細胞との相互作用に関わる様々な活性が存在する。特異抗体を駆使し、発生期 マウス顎下腺でのα1?5鎖の発現マップを作成したところ、α5鎖が組織発生開始時の未分化上皮細胞集塊 基底膜で陽性反応を示し、これが顎下腺分枝形態形成に関わる鎖であることが示唆された。さて、ラミニン機 能解析ツールの1つに、ラミニンのアミノ酸配列由来の合成短ペプチド群より細胞接着活性を指標にして得られ たラミニンペプチドがある。この細胞接着ペプチド配列を、ラミニン分子に内在する細胞との相互作用に関わる 部位の候補と考え、α5鎖Gドメイン由来の16種類を胎生13日のマウス顎下腺器官培養系に添加したところ、L VLFLNHGHFVA 配列に器官発生を阻害する活性を認めた。この阻害活性はC末3アミノ酸を削ったLVLFLNHGH配列(A5G77f) でも保存された。これらの顎下腺外植体では上皮集塊に多数のクレフトが形成されるものの分枝形態形成は 劇的に阻害された。ところで、Gドメインは5つのLGモジュール(LG1?5) からなり、それぞれのLGモジュールはA?Nのβシートよりなる。A5G77fは、このうちE/Fシート間のループ部 分を含む配列である。α鎖の特異性を調べる目的で他のα鎖E/Fループ由来の相同ペプチドの効果を顎下腺 器官培養系で調査したが、いずれも器官発生に影響を及さず、LG4 E/Fループがα鎖特異的に作用すると考えられた。さらにA5G77f添加により腎原基外植体の形態形成も阻害 され、LG4E/Fループが、上皮系組織の形態形成に関わるラミニンα5鎖上の重要な機能部位である可能性が 示唆された。
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