○眞 昌寛 八杉 貞雄
都立大・院理・生物
繊維芽細胞増殖因子(FGF)はこれまでに様々な組織や器官における細胞の移動や増殖、伸長、 分化に関わることが報告されている。特にFGF10は器官形成因子とも呼ばれ、発生過程の様々な器官形成に 関与している。ノックアウトマウスの解析ではFGF10は形態形成の開始と維持に関わる因子とされている。本 研究では、ニワトリ胚の胃(前胃と砂嚢)を用いて、FGF遺伝子の消化器官形成における役割を明らか にするとともに、消化器官形成に関わる他の遺伝子とのエピスタティックな関係を明らかにすることである。孵 卵4日?12日胚の胃(前胃と砂嚢)について、FGF(4, 7, 8, 9, 10), FGFR(1-4) の発現パターンを調べたところ、FGF10が前胃と砂嚢の間充織で、FGF7が砂嚢間充織で発 現していた。一方、FGFR2は前胃と砂嚢の上皮および間充織で発現し、前胃の腺上皮では発現が次第 に消失することがわかった。FGF(4, 8, 9) の発現は認められなかった。我々はFGF10に注目し、器官培養系にリコンビナントFGF10を添加し て前胃と砂嚢の上皮分化への影響を調べた。正常な前胃では上皮が間充織に落ち込み腺を形成する。FGF10 は上皮の陥入を促進する一方、内腔上皮の分化マーカーであるcSPやShhの発現を濃度依存的 に抑制した。また、FGFシグナル阻害剤であるSU5402は濃度依存的に腺の陥入を阻害した。砂嚢ではSU5402 によりcSPの発現が減少した。このことからFGF10が胃の形成に重要な機能を果たしている可能性が示 唆された。この可能性を確かめるために現在、FGF10とSU5402を併用した実験による上皮マーカー遺伝子の 発現をより詳しく解析している。
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