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ニワトリ初期胚における内胚葉の細胞系譜の解析


木村 航  八杉 貞雄  福田 公子

都立大・院理・生物科学


脊椎動物の消化管は、発生過程において前後軸に沿った領域分化により機能的・形態的に多種 多様な器官を形成する。ニワトリ胚では、消化管上皮を構成する内胚葉の領域分化は、消化管が管を形成する 以前の孵卵後1.5日で既に成立していることが知られている。我々は、ニワトリ初期胚内胚葉の領域化の分子 機構を解析する目的で、まず原腸陥入期での内胚葉の細胞系譜を解析した。
ニワトリ初期胚では、内胚葉 前駆細胞は原条形成前には胚盤葉上層にあり、原腸陥入とともに下層に移動する。この時期の内胚葉の細胞 系譜解析は、炭素片や移植を利用して行われてきた。しかし原条期の下層は極めて脆弱なため、これらの方法 では下層のみならず、それを裏打ちする中間層の細胞をも標識しているために、厳密な内胚葉細胞系譜とは 言い難い。そこで我々は、親油性色素DiIでニワトリ胚下層を特異的に標識する方法を確立した。この方法を用 いて原腸陥入期の下層を標識した後、孵卵後1.5日相当まで培養し、内胚葉の細胞系譜を詳細に追跡した。
胚体内内胚葉を構成する細胞は、stage3から下層に検出されはじめた。これらの細胞は原条周囲のごく限ら れた領域に分布していたが、stage3で下層に存在する内胚葉予定細胞はいずれも後腸に寄与するものであり 、前腸に寄与するものは検出されなかった。stage4になると、胚体内内胚葉を構成する領域はヘンゼン結節を 中心に拡大し、後腸に寄与する領域に加え、ヘンゼン結節周辺に前腸背側に寄与する細胞が検出された。更 にstage4+からstage5になると、頭突起側方に前腸腹側に寄与する領域が検出された。これらの結果は、内胚 葉細胞がstage3からstage4+にかけて、予定後腸領域から予定前腸背側領域、更に予定前腸腹側領域の順に 連続的に下層に移動してくる可能性を示唆している。


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