○美濃部 純子 小泉 修
福岡女子大学・人間環境
ヒドラの神経網はいくつもの部分神経集団が重なり合ってできている。またヒドラでは神経網は上 皮組織と共に常に体の末端へ転位して抜け落ちているにもかかわらず、各神経部分集団の分布は部域特異 的でそれが常に保たれている。神経細胞が成熟個体でも常に前駆細胞から新しく分化しているヒドラで、各神 経集団への分化がどのように制御されモザイク状の神経網が形成、維持されるのか、その制御機構は不明で ある。今回、in situ hybridization とBrdU 標識を用い、正常ヒドラにおける数種の神経ペプチド発現神経細胞の分化パターンを解析した。 その結果、(1)触手では触手全体に神経細胞が分布している場合でも新しく分化した神経細胞は、早い時期で は触手の基部にしか見られず、最も先端側に現れた新生上皮細胞よりも先端側に現れることはなかった。この 事から触手では神経細胞は基部で分化し、上皮組織とともに先端へ転位していくことが示唆された。(2)一方 口丘及び肉茎部では、早い時期から神経細胞が分布している全域で新生神経細胞が現れた。これらの場所で は分布している領域内での局所的な分化が起こっていると考えられる。しかし、肉茎部を頭尾方向に4等分し 部域を分けて(頭側より領域1、2、3、4とした)観察した結果、神経細胞の数は領域3と4に多いのに対し、新生 細胞の出現率は領域2と3で高く、神経細胞の分布と分化のパターンは一致していないことがわかった。そこで 肉茎部での神経集団の部域特異的分布のメカニズムとして、部域特異的分化に加えて、上皮組織の転位に伴 って移動してくる神経細胞がどの様に関与しているかを調べるため、カーボンマークにより上皮組織の転位速 度について調べた。これらの結果から部域特異的分布を維持するメカニズムについて、細胞死や、再生中のヒ ドラで起こることが報告されている分化転換の可能性も含めて考察する。
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