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ショウジョウバエの神経細胞は細胞自律的に軸索内コンパートメントを形成する


勝木 健雄1,2  平本 正輝1,4  広海 健1,2,3

遺伝研1,総研大2,CREST3,PREST4


複雑な神経回路網の形成には, 組織中の広範囲かつ緻密な位置情報が必要と考えられる.従来, この位置情報は主に分泌性タンパク質の拡散・濃度勾配によって形成されると考えられてきた.一方我々は, ショウジョウバエの神経系において, 受容体が分泌性タンパク質を再配置することにより伸長する軸索に対して積極的に位置情報を提示しうること を示した.つまり, 受容体はリガンドと結合して細胞内に情報を伝えるだけでなく, 他の細胞に情報を提示する役割をも持つといえる.ここで見出されたもう一つの重要な点は, 情報を提示する受容体が軸索上に分布していたということである.このことは, 軸索が情報を伝達するケーブルとして機能するのみならず, 組織中の広範囲にわたって緻密な位置情報を提供する場となる可能性を示唆する. このような軸索によるパターニングの機構と意義を解明するには, in vivoin vitroにおいて軸索上の分子の分布を1細胞レベルで詳細に観察する必要があると考えた.今回我々は, ショウジョウバエ胚由来の初代培養系を用い, 単離された神経細胞における分子の分布を観察した.その結果, 軸索ガイダンス分子の受容体として知られるRoboファミリーや中枢神経系に特異的に発現するBP102抗原が 軸索の特定の領域に局在することが明らかになった.すなわち, Roboファミリーは軸索の遠位端に局在し, BP102抗原は軸索の近位端に局在するという互いに相補的なパターンを示した.以上のことから, 神経細胞は内在的にコンパートメント様の構造を有し, 受容体は軸索内のコンパートメントの制御を受けて特定の領域に局在しているのではないかと推測している. 経時的な観察の結果も踏まえ, 細胞自律的にコンパートメントが形成される機構と生体内における軸索の新たな役割について議論したい.


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