○藤島 和人 永楽 元次 平野 丈夫 見学 美根子
京大・院理・生物物理,CREST
哺乳動物の小脳顆粒細胞は、生後発達段階において直角な方向転換を挟み大規模な細胞移動 を行う。この方向転換の分子的機構は未だ明らかにされていない。われわれはマウス顆粒細胞の初代培養系 を用いて方向転換期前後の細胞群からRNAを調整し、サブトラクティブPCR法を使用したクローニングを行った 。その結果マウスseptin 3 (msept3) を極性転換期に発現を強める分子として同定した。septinは哺乳動物では少なくとも10種存在するグアニンヌ クレオチド結合タンパク質ファミリーである。また酵母から哺乳動物にいたるまで種間を越えて保存されており 、概してアクチンや微小管骨格と協調して細胞分裂に関わることが知られている。msept3は主に中枢神経系 に発現することが確認されていたが、in situ hybridizationの結果から小脳顆粒細胞をはじめ分裂後ニューロンにも発現することが明らかになり、細胞分裂 以外の役割を担うことが予想された。またmsept3には数種の分子種が存在し、可変性スプライスによりグアニ ンヌクレオチド結合部位の1つであるp- loopの有無が生じる。msept3を小脳顆粒細胞やHEK293細胞に強制発現すると繊維状の構造を形成すること が分かった。この繊維の形成にはp-loopが必要であり、可変性スプライスにより生じるp- loopを持たない分子種は、繊維状構造を形成できないことが明らかになった。またこの構造は薬剤を用いてア クチンや微小管骨格を破壊しても維持される。この結果からmsept3が形成する繊維は他のseptinファミリー分 子種と異なり、アクチンおよび微小管骨格とは独立の骨格構造であることが示唆された。
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