[2P059]

Sprouty2によるFgf8シグナルの調節と中脳・後脳の分化


鈴木 明日香  佐藤 達也  仲村 春和

東北大・院生命科学・生命機能


中脳/後脳境界部(峡部)はオーガナイザーとして働き、その本体はFgf8であると考えられている 。最近そのメカニズムの解析が進み、Fgf8によりRas- Erk経路が活性化されると小脳が分化することが明らかとなった。Sprouty2はRas- Erk経路によりその発現が誘導され、活性化されるが、働きとしてはRas- Erk経路を負に調節する。本研究ではFgf8の調節機構とその神経発生における意義を調べるため、Sprouty 2及びdominant negative型Sprouty2 (Sprouty2-DN)をニワトリ胚脳胞にin ovo エレクトロポレーション法を用いて強制発現した。Sprouty2を強制発現すると、遺伝子強制発現側で峡 部Erkのリン酸化は抑えられ、後脳胞は発生運命を変え視蓋として分化した。峡部でのマーカー遺伝子の発現 を調べると、Sprouty2によりOtx2の誘導とGbx2の抑制が起こり、Fgf8の発現も後 方へと移動していた。滑車神経は本来の場所のほか、異所的な視蓋の後縁と思われる場所にも見られた。逆 に<Sprouty2- DNの強制発現では、遺伝子導入側で峡部のErkリン酸化が増強された。峡部でのマーカー遺伝子の発現 を調べると、Sprouty2- DNによりOtx2の発現抑制とGbx2発現の誘導が起こるとともに、Fgf8Wnt- 1の発現は前方に移動していた。すなわち中脳後ろ側境界は前方へ移動し、峡部が拡大した。滑車神経は その広くなった峡部に広がって走行しており、束も乱れていた。以上のことから、小脳の分化にはRas- Erk経路の活性化が必要であり、視蓋の分化には別のシグナルトランスダクション系が使われていることが示 唆された。


Page Copyright (C) 日本発生生物学会 All Rights Reserved.