○新道 真代1,2,3 津田 玲生2 相垣 敏郎4 林 茂生2
総研大1,理研・CDB2,遺伝研3,都立大4
細胞の運動と接着の変化を伴う上皮の形態変化は、発生過程に重要な役割を果たしている。上
皮が様々に形態変化することで複雑なネットワークを構築するショウジョウバエ気管は、上皮の形態形成を個
体レベルで研究する上で優れたモデルシステムである。上皮細胞の形態変化に関わる因子を網羅的に検索
する為に、酵母のGal4-UASシステムを応用した過剰発現系を用いたスクリーニング(Gene
Search(GS)法)を行なったところ、src42A及びsrc64Bを見いだした。野生型における気管形成時
のsrcの発現部位を免疫染色により観察したところ、活性型Srcは細胞アピカル面及び接着面に局在し
ていることが明らかとなった。また、不活性型Srcの接着面への局在はほとんど認められなかった。このことか
ら、srcは上皮細胞の形態変化に重要な因子であることが考えられた。
そこで、今回我々はsrcと上皮の形態変化に着目して解析を行った。src42A過剰発現胚は気管上皮が
崩壊する表現系を示し、免疫染色ではE-
Cadherinの蓄積が認められなかった。更に、気管特異的に発現する因子btlのエンハンサー下流にGal4
をつないだBtl-Gal4系統を用いて恒常活性化型src42A(src42ACA)を過剰発現させたところ、E-
Cadherinの蓄積が消失した。逆に、ドミナントネガティブ型
src42A(src42AKM)を過剰発現させたところ、E-
Cadherinの過剰な蓄積が観察された。以上のことより、src42AはE-
Cadherinを介した接着制御に重要な因子であることが予想された。
一方、野生型における胚発生時のsrc64Bの発現部位をin
situにより観察したところ、胚全体で発現していることが明らかとなった。また、src64B変異体(src64BP1)では気管の融合異常が認められ、src64Bも気管形成過程に重要な因子であることが
示唆された。以上のことから、src42Aとsrc64Bは気管形成を含む上皮の形態変化において協調
的に働いていることが予想される。
Page Copyright (C) 日本発生生物学会 All Rights Reserved.