[2P037]

ショウジョウバエ脚の遠近軸形成に関与する細胞接着分子のスクリーニング


櫻井 香代子1,2  相垣 敏郎1  林 茂生2

都立大・院理・生物科学1,理研・CDB2


生物個体が発生におけるダイナミックな形態変化を正常に遂げるためには、個性を持った細胞群 がそれぞれ正しい配置をとり続けることが極めて重要である。それには同種・異種の細胞を認識する細胞接着 分子の存在が不可欠であるが、部位特異的な細胞接着分子についての知見は少ない。ショウジョウバエの脚 原基は遠近軸に沿って同心円状に一層の細胞群が配列し、成体構造との対比が容易であり、遠近軸形成に関 わる細胞接着分子の解析に適した実験系であるといえる。我々は酵母由来のGAL4タンパク質の標的配列で あるUAS配列を組み込んだ強制発現ベクターの挿入株(GS系統)のスクリーニングを行い、遠近軸形成に関与 する細胞接着分子の同定を試みた。まず、ショウジョウバエの全ゲノム配列が明らかになっていることを利用 し、ORFのN末端領域に疎水性ドメインを持つ遺伝子を細胞接着分子の候補遺伝子として抽出した。その後、G S系統のデータベースと照合し、ベクター挿入地点近傍に候補遺伝子が存在する約900系統をスクリーニング 対象とした。これらの系統を脚の先端部で発現するGAL4系統と交配し、候補遺伝子を強制発現させ、終齢幼 虫の脚原基および成虫の脚構造に起きる形態異常をスクリーニングした。その結果、細胞接着に異常を来す と考えられる系統が複数得られたが、capricious (caps)遺伝子座に挿入を持つGS系統では、特に顕著な細胞接着性の異常が観察された。caps はLRRsドメインをもつ膜貫通型タンパク質をコードし、神経- 筋結合系において特異的な標的認識に関わることが知られている。capsは脚原基において円状に発 現していることから、遠近軸に沿った細胞接着を制御している可能性が高いと考えられた。現在、caps の成虫原基における機能について詳細な解析を行っており、結果を報告する。


Page Copyright (C) 日本発生生物学会 All Rights Reserved.