○本橋 力 青木 仁美 吉村 直子 國貞 隆弘
岐大・院医・再生医科学
胚性幹細胞(ES細胞)は個体を形成するすべての細胞種へと分化できる分化全能性を保持してい る。我々は試験管内ですべての細胞分化を再現できる可能性を秘めた実験系として、ES細胞を用いた培養系 の検討をしている。その細胞分化の一分野として、ES細胞から試験管内で色素細胞を誘導できる培養系を開 発し、色素細胞の分化の初期過程の解析を行った。誘導される色素細胞はc-kitシグナル、Endothelin- 3シグナルに依存することから表皮色素細胞と同様に神経堤細胞を経て分化したものであると示唆された。そ こで胚の後方化に重要な役割を持つレチノイン酸を培養初期に加えたところ、色素細胞の出現効率が劇的に 増加した。このことはレチノイン酸による後方化で体幹神経堤細胞が効率よく誘導され、それを経由して色素 細胞が分化していると考えられた。また、培養細胞を経日的にセルソーターでソーティングして再培養すること により、分化系譜の初期段階に生じているメラノブラストがどの段階で誘導されているかを解析した。培養6- 13日まで検討したところ、10日目以降に色素細胞のコロニーが優位に観察された。このことは培養10日目以降 でメラノブラストが発生し、維持されていることを示唆している。出現した色素細胞コロニーを比較したところ10 日目のコロニーには大きなものが多数観察され、増殖能に富んだ非常に未熟なメラノブラストが発生している ことも示唆された。以上のことは誘導されている色素細胞は正常の発生プログラムに沿った体幹神経堤細胞- メラノブラストの段階を経て形成されていることを強く示唆している。
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