[2P031]

Hex による Wnt シグナル経路を介した羽毛形成誘導


帯刀 章子1  横澤 慶一1  秋元 義弘2

帝京大・薬・生理化1,杏林大・医・解剖2


鶏胚発生における羽毛原基(placode)の形成過程は、皮膚培養や遺伝子導入等を含む種々の操 作が比較的簡単にできるので、組織の形態形成を研究するうえで魅力ある系である。 毛の形成メカニズムはハエから哺乳類に到るまで殆ど共通であり、上皮- 間充織相互作用を通じて上皮細胞の増殖、分化、位置情報は厳密に制御されている。 (羽)毛原基はWntシグナル伝達経路を介して誘導されるが、この過程に関与する他のシグナル伝達分子には 、側方抑制因子であるNotch、TGFβファミリー、 FGFファミリー、 Shh等があり、さらにhomeobox遺伝子( Hox c13,Msx1,Msx2,Gbx2,HB9 ) は転写因子として(羽)毛原基の形成や前後軸の決定に関わることが示唆されている。 我々は皮膚とその付属器官の形態形成においてhomeobox遺伝子が非常に重要であると考え、degenerate oligonucleotide primersを用いて行ったPCR産物をクローニングして、鶏胚皮膚からdivergent type homeobox遺伝子Hexを得た。 Hexは発生初期に血島、咽頭内胚葉、心内膜等で発現し、単球の分化、前脳、甲状腺、肝臓等の器官を 誘導する。 皮膚とその付属器官におけるHexの発現と機能は未知であったが、表皮細胞分裂の活発な時期に真皮 で発現するHexが表皮基底層の細胞増殖を促進して発生過程における皮膚表皮の形態形成を制御す ることを、我々は明らかにした。 さらに、鶏胚皮膚発生初期(placode stage)に羽毛原基の表皮と真皮でHex遺伝子が強く発現すること、electroporation によりHex- pEGFPをplacode stageの7日鶏胚背中表皮へ強制発現すると、羽毛原基形成に関与する遺伝子の発現誘導を伴う新たな羽毛 誘導が見られることからHexがその形態形成に関わっていることを初めて示唆した(2002年本大会)。 本研究では、Hex がその下流に位置するWntシグナル経路を介して羽毛形成を誘導すること、羽毛形成誘導に伴う細胞増殖はH GFのc-met受容体を介していることを初めて示した。 さらに、免疫染色によりHexタンパクが細胞質にも局在することが明らかになったので、免疫電顕によりその点 を詳細に検討した。


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