○大野 忠行1,2 中島 久仁子1 小島 瑞代1 右島 理可1 横山 峯介1 竹内 隆1
三菱化学生命研1,東北大・院医・小児2
個体発生における形態形成では, 細胞の増殖が時間的空間的に制御されている.組織が正常な形と大きさになるためには, 細胞増殖を停止させる機構, 停止状態を維持する機構が極めて重要である.しかし, これらの機構の詳細はわかっていない.心臓発生において, 心筋細胞は胎生期に盛んに増殖するが, 出生後まもなく増殖能を失う.終末分化した心筋細胞はG0期にて維持され, 増殖を再開することができないとされている. 我々はこれまでの研究から, G1期サイクリンであるサイクリンD1の発現低下が胎生期心筋細胞の増殖抑制に必要であることを示した. 今回, 心筋細胞に対しサイクリンD1蛋白を任意の時期に誘導することで, サイクリンD1の細胞増殖停止とその維持における役割の解析を行った.エストロゲン拮抗剤であるタモキシフ ェンに特異的に結合するエストロゲンレセプター変異体とサイクリンD1との融合蛋白を用いて, タモキシフェンによりサイクリンD1の発現を誘導できるトランスジェニックマウスを作成した.タモキシフェンを妊 娠マウスには3日間, 新生仔と成体には7日間投与した後, 心臓組織標本を作製しBrdU取り込み率を検討した. タモキシフェンを投与した胎生11.5日トランスジェニックマウス胚の心臓では心室心筋細胞の異常増殖がみら れた.生後10日齢の新生仔の心臓では形態的な変化はなかったが, 左室心筋細胞においてBrdU取り込み率が野生型に比べトランスジェニックマウスで上昇していた.これらの結 果から, サイクリンD1の発現抑制が生後の心筋細胞の増殖抑制にも必要であると考えられる.さらに胎生後期と成体 の検討を加えて報告する.
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