[2P017]

新規の頭部欠失変異マウス(headshrinker)の解析


西岡 則幸1,2  長野 清一3  井尻 貴之4  林崎 良英5  松田 洋一4  佐古田 三郎3  近藤 寿人2  佐々木 洋1

理研CDB1,阪大・生命機能2,阪大・医・神経内科3,北大・ 地環研4,理研GSC5


マウスの頭部は、前方臓側内胚葉(AVE)と沿軸中内胚葉(AME)という2つのシグナルセンターに より誘導される。我々は、トランスジェニックマウス作成時に、前頭部を大きく欠失して生まれてくるという頭部 誘導の異常に特徴的な表現型を示す劣性変異マウス系統(headshrinker; hhr)を樹立した。 hhrホモ変異胚は、E7.5までは形態的に正常であるが、E8.5以降前頭部に異常が見られ始め、E9.5では中脳後 脳境界領域より前方部分が欠失した。E6.5- 7.0におけるAVEやAMEでのマーカー遺伝子の発現は正常であったが、形態的に正常であったE7.5では既にA MEや前方神経外胚葉(ANE)における遺伝子発現の減少や消失がみられた。従って、hhr変異胚では後期のAM EあるいはANEの異常が原因となり前頭部の退縮が起こると考えられる。 トランスジーンの挿入部位は、染色体FISH法によりChr4 C5- C6に同定され、この領域には頭部形成に必須な既知の遺伝子は存在しないことから、hhr変異体は新規の頭 部形成遺伝子の変異マウスであると考えられた。トランスジーンの挿入部位近傍をクローニングしたところ、ト ランスジーンはHhr遺伝子の約100 kbに及ぶ巨大なイントロンに挿入されていた。Hhr遺伝子は7.5日胚までは胚全体に発現しており、ホモ変異胚 においては、その発現レベルが野生型の約40%に低下していた。Hhr遺伝子cDNAを発現するトランスジェニッ クマウスを作成したところ、hhrホモ変異胚において頭部欠失の表現型が回復した。これらの結果は、hhr変異 体ではHhr遺伝子は発現の低下がみられるhypomorphic alleleになっていることを示唆している。頭部誘導の過程では、Hhr遺伝子の発現量が一定レベル以上必要で あることが明らかになった。


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