○柴田 幹士 日笠 弘基 伊藤 万里 平良 眞規
東大・院理・生物科学,科技団・CREST
頭部オーガナイザー領域に発現し、Frizzled様ドメインを持つ分泌性因子Crescentの機能解析を 行った。まずCrescentを前方神経外胚葉領域に異所発現させたところ、頭部構造が拡大した。さらにCrescent はXwnt8による2次軸形成能を阻害した。これらの結果から、CrescentがXwnt8或いはそれに類似のWntに結合 して、Wntの標準シグナル伝達による後方化を頭部で抑制すると考えられた。一方、Crescent を低いレベルで背側に異所発現させると、神経や背側中胚葉の分化を抑制せずに、収斂伸長運動を強く阻害 した。この阻害作用はアクチビン処理により中胚葉化させたアニマルキャップの系においても同様に見られた が、予想外にもドミナント・ネガティヴ型Cdc42の共発現によって解消され、Wnt11によって増強された。このこ とから、Crescentが少なくともアニマルキャップの系において、Wntの非標準(non- canonical)シグナルを促進することが示唆された。更にタグを付加したタンパク質を用いた共免疫沈降により、 Crescent はXwnt11、Xwnt5a など非標準シグナルを伝達するWnt と強く複合体形成した。Crescent モルフォリーノによる機能阻害を行ったところ、前方神経管の閉包(closure)が阻害された。これらの結果から、 Crescentは頭部オーガナイザー領域において各種Wntと結合することによって、後方化の阻害と、中胚葉と神 経板の収斂伸長運動を制御する役割を担っていることが示唆された。
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