○大石 久美子1 岡野 栄之2 澤 斉1,3
理研CDB・細胞運命1,慶応大・医・生理2,神戸大院・自然3
非対称分裂は生物発生の際、細胞の多様性を生み出す基本機構である。分裂時、細胞運命決定
因子の非対称分配が起こると二つの娘細胞は異なる細胞運命になると考えられており、非対称分裂にはこの
細胞運命決定因子の分配と分裂軸の向きが一致していることが必要とされている。しかし、この分裂軸決定機
構はほとんど明らかとなっていない。
当研究室では線虫を用いて非対称分裂機構の解析を行っている。線虫の尻尾にあるT細胞は胚発生後、非対
称分裂する。これまでに当研究室ではこのT細胞に注目し、非対称分裂が異常になる変異体(Psa)を多数得て
おり、これらについて報告してきた。本研究では、初期胚発生時に分裂軸に異常が見られるpsa-
2およびos25について報告する。
psa-
2およびos25変異体はともに、T細胞の非対称分裂異常の他に、maternal-effect
letharityを示した。そこで、胚発生時にどのような異常が起こるのか検討を行った。線虫初期胚では、第一分裂
後ABおよびP1細胞に分かれる。第一分裂終了後、P1細胞の分裂極はv/dにそれぞれ位置しているがその後a
/pへ位置を変え、そのままこの方向に非対称分裂しEMSおよびP2細胞を生み出す。psa-
2変異体ではP1細胞の分裂極の移動が起こらず分裂の方向が異常であった。一方、os25変異体で
はEMS細胞の分裂軸に異常が見られた。このことから、psa-
2およびos25変異体の原因遺伝子が分裂軸決定に関与していることが示唆された。遺伝子クロー
ニングの結果、psa-
2はロイシンジッパー配列をもつ新規蛋白質をコードしており、この蛋白質は生物種間で保存されているこ
とが明らかとなった。
現在、Psa-
2の機能を解析するとともに、os25原因遺伝子の同定を進めている。また、T細胞の非対称分裂異常も
分裂軸の異常によることが考えられることから、この点についても解析を進めている。
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